30代女性が転職を考えたとき、どのような課題が思い浮かぶでしょうか。結婚や育児などプライベートとの両立、実績や経験値、これからのキャリアプランなど、さまざまな面で将来を見据えて転職を考えなければなりません。
また、30代で転職を考えると「失敗したくない」「後戻りできない」という気持ちも20代に比べて強いかもしれません。これまでの自分の経験やスキルを最大限生かすにはどうすればよいのか、そのポイントもしっかりと押さえておきたいところです。今回は、30代女性の転職について注意点やアピールすべきスキルなどを解説していきます。
30代女性の転職割合
まずは、転職市場における女性の割合をみていきましょう。「年齢階級別転職入職率」では、30歳～34歳女性（計）は10.0％、35～39歳女性（計）は10.6％となっています。パート労働者を除くと、30～34歳（一般）は7.9％、34～39歳（一般）は8.5％です。20代に比べて転職率が低下していることがよくわかります。
また、全年齢階級で女性の方がパート労働者の割合が多く、なかでも30代女性は、20代後半までとはいかないものの他の世代に比べてパート労働者の割合が比較的高くなっています。結婚・出産・育児などによって雇用形態を変えなくてはならなくなったという方も多いものと考えられます。
参考：厚生労働省「令和2年雇用動向調査」
30代女性の転職理由
では、30代女性が転職をしたい理由は何なのでしょうか。厚生労働省の調査では、20代・30代ともに以下のような回答が多く挙げられました。
- 「職場の人間が好ましくなかった」（10％前後）
- 「給与等収入が少なかった」（９.5％前後）
- 「労働条件が悪かった」（10％前後）
しかし、とくに30代後半の女性からは「会社の将来が不安だった」（12.8％）という回答も多くあったようです。20代の頃よりも視野が広くなり、キャリアやプライベートとのバランスを考えるからこそ見えてきたことともいえるのではないでしょうか。
参考：厚生労働省「令和2年雇用動向調査」
令和2年は、コロナウイルスが脅威的に拡大していた時期でもあり、これによって前職を退職せざるを得なかった人も多数いることでしょう。上記の退職原因は一例ですが、次の転職ではこれらの退職理由を必ず解決できるよう入念な準備をして転職活動に挑むことが大切です。
ここからは、女性の転職市場の現状とその特徴についてみていきましょう。
女性の転職市場の現状とその特徴
女性の転職市場は、男性と比べて職種や業界に偏りがあります。一般的に、女性が多く働く業界はサービス業や福祉・教育・保育・医療・美容関係などがあげられます。また、女性はライフスタイルの変化によって正社員で働き続けることが難しい方も多く、パートやアルバイトといった非正規雇用が多い傾向にあります。一方で、女性が管理職や役員クラスに就く割合は男性に比べて低いという現状があります。これは、「ガラスの天井（グラスシーリング）」と呼ばれ、性別などを理由に正当な評価を受けられず、ガラスのように”見えない天井”によって昇進や昇格が阻まれる状態のことをいいます。
女性が転職する際のメリットとデメリット
女性が転職するメリットとしては、新たな職場でのチャレンジや成長機会が得られること、待遇や働き方の改善が期待できることがあげられます。一方、女性が転職する際のデメリットとしては、出産や子育てなどのライフステージによって求職者としてのアピールが難しくなることや、男性に比べて職場での評価や処遇が不利になることがあります。
女性の転職で多いご相談内容
女性に特化した転職サポートをおこなう転職エージェントとして、女性の転職のご相談として多くの不安や悩みをお聞きします。ここからは、女性の転職の不安や悩み、またそれをなくすための解決方法をご紹介します。
転職に関するご相談内容
転職にはさまざまな不安や悩みがあるものです。たとえば、転職先での人間関係や職場環境、転職後のキャリアパスや将来性などです。また、とくに女性特有のお悩みとして聞かれるのは、転職後のワークライフバランスや育児と仕事の両立などがあります。これらの不安や悩みを解決するためには、自分自身の希望やライフスタイルに合った職場選びや転職先の社風や制度について十分に調べることが大切です。
女性が転職する際に気をつけるべきポイント
上記のことからも、女性が転職する際には「仕事とプライベートの両立」が大きなポイントになることが多いです。とくに、女性は出産や育児による心身の変化によって仕事とプライベートのバランスに悩むタイミングが何度か訪れます、そこで、まずは転職先の社風や制度が自分に合っているかどうかを確認することが大切です。たとえば、育児休暇や時短勤務制度があるかどうか、女性管理職の比率が高いかどうかなどがポイントとなります。また、自分のライフスタイルに合わせた勤務時間や勤務地を選ぶことなども重要です。
さらに、転職前には、自分が希望するキャリアパスやスキルアップのための研修制度やキャリア支援制度が整っているかどうかを調べることも大切です。転職エージェントやサイトをうまく活用することで、転職市場の動向や求人情報を把握し、自分に合った転職先を見つけることができます。また、転職活動中は、自分自身のアピールポイントを明確にししっかりと伝えることが重要です。面接時には自信を持って、自分の考えやアイデアを積極的に伝えるように心がけましょう。
転職前にしっかりと考えておきたい３つのこと
ここからは、30代女性が転職に際してしっかりと考えておくべき注意点やポイントをお伝えします。
１．前職を退職した理由・転職したい理由
前項でお伝えしたように、転職したい理由をしっかりと明確にしておきましょう。退職理由を丁寧に分析してみると、自分の本当の気持ちが見えてきます。分析しているうちに「転職は必要ないかも」という答えにたどり着くこともよくあります。また、分析するなかで自分が本当にやりたいこともはっきりしてくるので、ここはきっちりと考えてみてください。
２．転職で絶対に譲れないこと
自分が転職で絶対に譲れない条件は何か、しっかりと明確にしておきましょう。給与、休日・休暇、職場環境、勤務地、労働時間、福利厚生、企業風土など、条件にはさまざまなものがあります。採用を決めるのは企業ですが、最初にその求人を選び応募するのは自分自身です。丁寧に企業分析をして「譲れない条件」と照らし合わせていきましょう。とはいえ、すべての条件を当てはめようと欲張りすぎるのも×。たとえば「条件は３つまで」と決めて絞っていくと考えやすくなります。
企業を選ぶ、という点では「女性が働きやすい企業」をはじめから探すのもよいでしょう。国や地方自治体が認定している企業には独自の認定マークが与えられており、企業のホームページや採用サイトなどで確認できます。ちなみに、当社も大阪市より「女性活躍リーディングカンパニー」の認定を受けています。
参考記事：【お知らせ】「女性活躍リーディングカンパニー」に認証されました！
（例）「女性が働きやすい職場」のイメージ例
- 時短勤務OKで家庭と両立しやすい
- 女性の管理職割合が高い
- 女性社員が多くロールモデルを見つけやすい
- テレワーク等柔軟な働き方ができる制度があり活用されている
- 育児休業取得率、復帰率が高い
30代女性は、ライフイベントによって仕事とのバランスを変えなければいけないタイミングがあります。そのため、さまざまな状況を考えながらキャリアビジョンを考えていくことも大切です。もちろんすべて計画通りとはならないかもしれませんが、このような認証企業を選ぶことでできるかぎり長く働ける選択肢を持てるように準備しておくとよいでしょう。
参考記事：女性が“働きやすい職場”を選ぶ判断基準となる認証マークとは？
３．これまでの実績や経験の活用方法
これまでの仕事を通じて習得した知識やスキル、経験をどのように活かしていけるかを論理立てて話せるようにしておきましょう。これをより明確に面接等で伝えることができれば、面接官があなたの入社後の姿をイメージしやすくなります。
とくに、30代は20代に比べるとスキルや経験を必要とします。いわゆる「即戦力」です。もちろん未経験OKの求人もありますが、30代後半に向かうにつれて未経験職種への転職は難しくなります。そのため、今身に付いているスキルや経験をしっかり分析し、どのように転職先で業務に落とし込んでいくのかを考えてみてください。
もし、未経験であっても、汎用性のあるスキルや経験があれば場所・企業を問わず活かしていけるでしょう。たとえば、営業職で培ってきた課題発見力やロジカルシンキング、ヒアリングスキル等は汎用性が高く、経営企画や商品企画、広報・PRなどへのキャリアチェンジの可能性もあります。数字やデータに強ければ、マーケティングなどへのチャレンジもできるでしょう。「これまで○○だから○○しかできない」というわけではないので、しっかりとご自身のキャリアを棚卸し、転職したい理由と譲れない条件などと併せて考えてみることがポイントです。
【20代との違い】30代の転職はここをアピール
30代の転職では、20代とアピールすべきところが異なります。「実績」と「キャリアビジョン」という点で、筋の通った内容となるよう整理しておきましょう。
「実績」成果だけでなく専門性やマネジメントスキル
20代のころは、チャレンジ精神や積極性でなんとかカバーできたところも、30代になるとより結果が重要視されます。あなたの思考、行動が、どのような結果・成果をもたらしたのかというところです。また、成果はもちろんのこと、その業務に対する専門性や部下をまとめプロジェクトを遂行するマネジメント力も求められるポイントです。専門性というと職種や業種によって偏りがありますが、マネジメントスキルはどんな職場でも必要とされるスキルです。チーム内だけではなく、ときには社外の方との関係構築にも役立ちます。すぐに身に付くスキルではありませんが、だからこそ転職の際にはアピールすべきポイントです。
「キャリアビジョン」将来像と実現のための考え方や行動力
30代の転職では、より仕事における“軸”が大切になってきます。もちろんTPOに合わせた対応力や柔軟性も大切ですが、業務を遂行するにあたって自分の軸をもっているかどうかが問われます。挑戦や失敗をしてきたなかでどんなビジョンをもって活躍できるか、というところです。これまでの経験を糧にしつつこれからのビジョンをより明確に持って行動できる人は、転職市場でも魅力的な人材として重宝されます。
転職のために準備しておくべきこと
ここからは、もう少し詳しく転職のために準備しておくべきことをご紹介します。変化の大きい社会だからこそ事前に準備しておくことで、柔軟に対応力することができます。
転職前に準備すべきこと
転職を考えている方は、転職先の業界や職種、会社環境や待遇、自分自身のスキルやキャリアプランなどを見極めることが大切です。具体的には、自己分析やキャリアアセスメントをおこない、自分自身の強みや弱み、興味や関心、将来のキャリアビジョンを明確にすることが必要です。また、転職先の情報収集や人脈の構築、求人情報の収集や面接対策なども重要な準備です。
転職する際に必要な職務経験やスキル
転職する際に求められる職務経験やスキルは、業界や職種によって異なりますが、一般的に求められるスキルとしては、コミュニケーション能力やチームワーク、問題解決能力、マネジメントスキル、ビジネスマナーなどがあげられます。また、求人要件に応じて、専門的な知識やスキル、資格を持っていることが求められる場合もあります。しかし、職務経験やスキルに自信がない場合は、研修や資格取得など、自己啓発に取り組むことで不足している部分を補うこともできます。
とくに、転職を検討している女性には「自分のスキルに自信がない」「事務経験しかないので転職できるか不安」という方も多いですが、あまりネガティブにならないことが大切です。まずはこれまでの自身の経歴から、経験・スキル・実績をしっかりと洗い出してみましょう。自分では長所や強みだと思っていないことでも、別の職場では必要とされるスキル・実績かもしれません。転職エージェントに話すことで長所や強みを引き出してくれることもあるので、まずは自己分析をしっかりおこないキャリアの棚卸をしてみましょう。
履歴書や職務経歴書の書き方
転職活動で準備する履歴書や職務経歴書は、自分自身をアピールするための重要なツールです。具体的には、自己PRや志望動機、職務経歴の詳細な説明、業績や実績、資格や語学力などの情報を盛り込むことが重要です。また、業界や職種に合わせて、アピールポイントを強調するためのレイアウトや表現方法、キーワードの選定などにも注意しましょう。一般的には、清潔感のあるシンプルなデザインが好まれます。また、職務経歴書には、過去の職歴や業務内容を正確かつ具体的に記載し、その中で自分自身が果たした役割や成果を数値や実績によって明確に示すことが大切です。
また、キャリアアップを目指す場合は、今後のキャリアプランや目標、スキルアップに取り組んでいる様子をアピールすることも有効です。履歴書や職務経歴書は企業との出会いの第一歩であり、自分自身をしっかりとアピールすることが成功への近道となります。
「悩み多き転職」転職エージェントをうまく活用するのが◎
30代女性の転職は仕事にプライベートに、さまざまな不安や課題があり悩みも多いことでしょう。そこで、30代女性の転職においても、ほかの世代同様転職エージェントをうまく活用することをおすすめします。
転職エージェントを活用するメリット
- 在職中や遠方でも効率よく転職活動ができる
- 年収交渉やスケジュール調整を任せられる
- 非公開求人を紹介してもらえる可能性がある
- 経験やスキルを活かす選択肢が広がりやすい
- 客観的に市場価値を図ることができる
冒頭にお伝えしたように、30代女性の転職は育児などご家庭との両立が課題になることも多く、限られた時間のなかで最適な求人をひとりで見つけるには大変な労力を必要とします。そこで転職エージェントを利用すれば、時間を有効に使いながら転職活動に専念することができます。転職エージェントを介することで、自分で調べても分からないような企業情報や職場の雰囲気を教えてくれることもあります。なかには非公開求人を提案してくれることもあるので一人で転職活動するより選択肢が広がるでしょう。
さらに、転職エージェントを利用することで自分自身の市場価値を測ることができます。また、転職はすべて自分自身の選択で決まっていきますが、企業や求人に対して偏見を持ってしまったり冷静に判断できなかったりすることもよくあります。しかし、客観的な視点や評価を取り入れることで論理的に考えることができ、結果として自分に最適な企業・求人を探しやすくなります。
面倒な選考スケジュールの調整や年収交渉等もすべて転職エージェントが代行してくれる点も大きなメリットでしょう。情報収集や面接対策などを一人でおこなうのは大変ですが、転職に詳しいプロのアドバイスなどを取り入れながら取り組むことができるので活用しない手はありません。
選択肢をたくさん持っておこう
キャリアプランというと職歴や経歴のことばかりに目が行きがちですが、「それぞれの人生を通じて、自分がどのような人物になりたいか、そのためのプロセスや行動計画」と考えてみてください。妊娠や出産、介護、子育て、転職……人生におけるイベントは人それぞれのタイミングで起こります。その出来事に対する選択もまた、人それぞれです。ときに、予期せぬことも起こるかもしれません。そのとき、ご自身のキャリアや将来への道を狭めることがないように、20～30代の若いうちにたくさんの準備をして選択肢を増やしておくと安心です。今の自分にできることはなんなのか、じっくりと考えてみましょう。
「ずっと仕事をしていたい」「子育てに専念し落ち着いたらまた復職したい」「在宅育児をしながら柔軟性を持って働きたい」など、ライフスタイルを含めたキャリアプランは人それぞれ。個人やご家族それぞれにライフスタイルがあり、それぞれが理想を実現していくためにキャリアプランを考えていくことが大切です。
働く女性が増えている今、企業も社会構造や働き方に対する意識の変化をしっかりと捉えながら働く社員をサポートしていくことがこれからはより求められていくでしょう。
女性の転職のご相談・お問合せはぜひクラスへ
今回は、30代女性の転職について注意点や知っておくべきことをご紹介しました。30代女性には、転職において「キャリアとプライベートとの両立」という点がひとつの不安材料になっている方も多いです。優先順位を付けることが難しいですが、転職前の丁寧な下準備と明確なキャリアビジョンである程度不安は解消できるはずです。在職中や子育てもある中での転職は大変ですが、ぜひ転職エージェントの力を借りて効率よく転職活動を進めていきましょう。
当社では、経験やキャリアを生かした転職を積極的にサポートしています。「女性特化」を強みとし、それぞれの長所を活かした転職をこれまでも多数実現しています。また、コーディネーターによるお仕事紹介のみならず、国家資格を持つキャリアコンサルタントによるキャリアカウンセリングも無料で実施。転職やキャリアプランにご不安をお持ちの方にとっては手厚く安心できるサービスです。ぜひ、お気軽にクラスにご相談ください。
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