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女性の転職について

働く女性がキャリアとプライベートを両立するには?

1990年代、日本では専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転しました。働く女性が増え、2020年には共働き世帯は全体の68.4%を占めているといわれています。しかし、女性が社会に出て収入を得るというメリットがある一方で、子育てや介護などプライベートとの両立に悩む方が増えているのも事実です。ここには、働く女性自身だけでは解決できない社会構造的な問題や男女格差の問題などが隠れています。

そこで、この記事では働く女性を取り巻く現状について解説しています。働く女性が「キャリアかプライベートか」という二者択一を迫られるのではなく、自由に思い通りのキャリアを築いていくためにできることを考えてみましょう。

「M字カーブ」は徐々に解消

出典:男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版

「M字カーブ」とは年齢にともなう労働力の推移を表したものです。「出産・育児を機に仕事を辞め再就職する」という女性特有の働き方を説明する際によく使われます。上図のように、20代で上昇した労働力が20代後半から30代にかけて出産や育児などによって低下し、再び40~50代に向かって上昇し定年に向かってまた低下していくという推移が「M字」になることからこう呼ばれています。

近年はこのM字カーブの傾斜がゆるくなり、また、M字の「底」となる年齢階級が上昇するという特徴があります。これには、「働き方改革」や「女性活躍推進法」などによって、働く女性が増えたことやライフステージの変化に対応しやすい職場環境が整えられつつあることが理由であると考えられます。産休や育休制度、時短制度だけではなく、リモートワークの充実やサポートが多くの企業で導入されるようになったことも大きな要因と言えるでしょう。

ちなみに、アメリカやスウェーデンなど欧米諸国では日本のような「M字カーブ」になることはなく「逆U字型」と呼ばれる曲線になります。子育て支援も充実しており働き方の柔軟性が高いことから、子育て層である20代後半~30代に極端に労働力が低下してしまうことがほとんどありません。

約半数の女性が「出産を機に退職」

出典:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版

しかし、M字カーブが解消されてきた今も、働く女性を取り巻く状況が大きく改善したとは言い難いのです。というのも、出産後も正社員として働き続けている女性が53.1%いる一方で、46.9%の女性があらゆる理由で出産を機に退職しています。1度辞めてしまうとキャリアが中断されてしまうどころか「キャリア断絶」ともいえるような状況になってしまう女性もいるのが事実です。

「正社員として働けばいいだけでは?」「本人のやる気次第では?」という声もありますが、それだけではどうにもならない社会的構造的な問題もあり女性を悩ます原因になっています。

働く女性が正社員を諦める理由

では、「育児とキャリアを両立したい」と考えていた女性がキャリアを諦めるのは、どんな理由があるのでしょうか。下図は、「第一子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由」について、子供がいる25~44歳の既婚女性を対象に実施したアンケート調査をもとに作られたものです。

出典:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和2年版

第1位の「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」という理由で仕事を辞めた女性は50%を超えていて、その後には「子育てに専念したかった」「自分の体や胎児を大事にしたいと思った」という理由が続いています。そして、4位以降を見てみていくと、一度復職した結果、子育てと仕事を両立することの難しさを実感し退職を決意した女性が多くいることが推測できるでしょう。

もちろんなかには「子どもといられる貴重な時間を大切にしたい」という理由で退職される方もいますが、家庭のご状況や周辺環境、職場環境、地域性などの理由で復職を諦めざるを得なかったという方も多いことが見てとれます。

働く女性“だけ”の問題ではない

上記のアンケート結果を見てもわかるように、女性のキャリアや子育てと仕事の両立を考えるときに大切なのは「働く女性だけの問題ではない」ということです。先述したように、女性がキャリアを諦める理由は、家庭のご状況や職場環境など周囲の影響も大きいのです。女性が社会に出て働くためには、周囲の協力が必要不可欠だといえます。

男性の育休取得率は増加傾向だが…

育児休暇取得率の男女の違い

参考:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版」※上図は弊社にて作成

ここで、男性の育児休業取得の現状をみてみましょう。男性の育児休業については、海外先進国に比べて日本は非常に後進的であることが以前から指摘されていました。そこで、昨年10月には「産後パパ育休」が新設されるなど男性の育児休業制度が拡大されてきた背景があります。これにより、男性の育児休業取得者も増加しその認知も拡大してきたように思います。しかし、実際の男性の育児休業取得率をみてみると12.65%と未だ低水準なのです。

一方、女性の育児休業取得率は81.6%と男女で大きな差があることがわかります。育休取得者が増加することはよいことですが、男性の育児休暇取得日数が短いことや職場環境等によってそもそも取得できないなど、人や環境、地域によっても偏りがあることも課題といえるでしょう。

このように、働く女性が安心して社会に出てキャリアをいかしていくには男性の積極的な育児参加はもちろんのこと、それを気持ちよく送り出してくれるような職場環境を作っていく企業にも大きな責務があるといえるのではないでしょうか。

働き続けられるようなキャリアプランを考えることも大切

働く女性が妊娠や出産などのライフイベントを迎えるタイミングが訪れたとしても、キャリアを断念することなく働き続けられる職場環境があること、またそのような企業がもっと増えていくことが望ましいです。柔軟に働き方とライフワークのバランスを変えながら働き続けることができれば、日本社会にとっても大きな発展と成長をもたらしてくれるはずです。

ちなみに、結婚や出産・育児などを機に退職した女性の約60%は経済的な不安から復職を希望するという調査結果があります。生涯年収、福利厚生などを考えると、働く女性にとっては「できるかぎり長く正社員として働き続けられる選択肢」を持っておくこともこの不安定な社会で生きていくための要素になるのかもしれません。

変化に柔軟に対応していくため、ご自身のキャリアをできるかぎり長いスパンで見ながらキャリアプランを考えていくことが大切といえるのではないでしょうか。

選択肢をたくさん持っておこう

キャリアプランというと職歴や経歴のことばかりに目が行きがちですが、「それぞれの人生を通じて、自分がどのような人物になりたいか、そのためのプロセスや行動計画」と考えてみてください。妊娠や出産、介護、子育て、転職……人生におけるイベントは人それぞれのタイミングで起こります。その出来事に対する選択もまた、人それぞれです。ときに、予期せぬことも起こるかもしれません。そのとき、ご自身のキャリアや将来への道を狭めることがないように、20~30代の若いうちにたくさんの準備をして選択肢を増やしておくと安心です。今の自分にできることはなんなのか、じっくりと考えてみましょう。

「ずっと仕事をしていたい」「子育てに専念し落ち着いたらまた復職したい」「在宅育児をしながら柔軟性を持って働きたい」など、ライフスタイルを含めたキャリアプランは人それぞれ。個人やご家族それぞれにライフスタイルがあり、それぞれが理想を実現していくためにキャリアプランを考えていくことが大切です。

働く女性が増えている今、企業も社会構造や働き方に対する意識の変化をしっかりと捉えながら働く社員をサポートしていくことがこれからはより求められていくでしょう。

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