介護職として働かれているみなさまは、介護職のキャリアビジョンやキャリアパスについて考えたことはありますか?また、これから転職しようとお考えの方の中には、「介護業界は厳しそう」「介護業界は給料が低い」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、介護業界の現状をふまえながら、介護職のキャリアについて知っていただくための情報をお伝えします。
今はいいイメージがなくとも、介護業界のよいところや働くメリット、企業の努力など、その業界のことを詳しく知ることは転職を考えるうえでとても大切です。新しい選択肢や考え方が生まれるかもしれません。ぜひ、最後まで読んでみてください。
介護業界の現状と介護を取り巻く課題
まずは、介護業界の現状についてお伝えいたします。日本が「超高齢化社会」であることは多くの方がご存知かと思いますが、その結果、介護が必要なご高齢者が増加し、反対に介護職として働く人材は不足しているのが現状です。
現在、介護業界では人手不足を解消しようと、ITやロボットを活用して業務の効率化も検討されていますが、導入には費用がかさむことや新しい技術の認可までに時間を要するため、まだまだ「人の手」を必要としている状況です。人材がなくては介護が成り立ちません。
高齢者の増加と人材不足以外にも、さまざまな問題・課題があります。
- 老々介護の常態化
- 要介護者への虐待
- 介護職員へのセクハラ
- 介護施設の不足とそれによる介護難民の増加
- 介護職員の離職率の高さ
介護業界における企業努力
しかし、このような状況でも、多くの企業が人手を確保するためにさまざまな努力をおこなっております。人材を確保するためには、働く社員の環境を整備することが大切だからです。
1.給与や待遇を改善
1つめは【給与や待遇の改善】です。平成30年厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」の統計では、性別・年齢別に介護職の平均給与額が以下のようになっています。
平成30年 | 平成29年 | 実労働時間 | |
全体 | 300,950 | 290,100 | △1.6 |
男性 | 319,730 | 308,330 | △1.2 |
20代 | 286,920 | 273,350 | — |
30代 | 325,930 | 313,680 | |
40代 | 343,420 | 333,160 | |
50代 | 314,030 | 303,500 | |
女性 | 291,910 | 281,300 | △1.9 |
20代 | 274,450 | 281,050 | — |
30代 | 292,530 | 287,340 | |
40代 | 298,610 | 287,340 | |
50代 | 300,260 | 290,590 |
出典:平成30年厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30kekka.pdf#page=121)
そして、平成30年と平成29年を比べてみると、約10,000円給与が上昇していることがわかります。また、社会全体の働き方改革の影響もあってか、実労働時間もわずかですが減少しています。
つまり、給与はアップし労働時間は減少しているというわけです。環境整備ができていない企業もあるかもしれませんが、全体として環境整備や働き方改革という面でも介護業界は働く社員のための努力を進めていることがわかります。
2.資格取得のサポート
2つめは【資格取得へのサポート】です。介護職において、キャリアアップを目指すうえでも資格取得はとても大切です。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務研修
- 介護福祉士
- 介護支援専門員/ケアマネージャー
と、さまざまな資格があります。無資格であっても介護助手として働くことは可能ですが、今後のキャリアを考えると資格を取得しておくとよいでしょう。業務の幅も広がりますし、給与アップのほか管理職など重要なポストに就くといったことも見えてきます。
まずは、最初のキャリアステップとして介護職員初任者研修を受け、介護業務を務めるうえで必要な知識や技術を身に付けましょう。食事や入浴など、高齢者や障害をもった方々のサポートに必要なものですが、ご家族に介護が必要となったときなど、役立つ場面の多い知識を得ることができます。
企業としては、このような資格をどんどん取得し、幅広い業務で専門的なサポートができるスペシャリストを必要としています。そのため、企業は資格取得のための教育や講習について経済的支援など積極的に取り組んでいるのです。
3.定期的なヒアリングで現場を把握
3つめは【定期的に現場をヒアリングし現状を把握】することです。やはり、見るべき、聞くべきものは介護現場にあります。そのため、企業が「働く人たちにとってよい環境か」「現場の悩みはなにか」などを確認することには、「理由もわからず職員が辞めてしまう」ということを防ぐメリットがあります。
介護業界は一般的な離職率よりも高い傾向にあり、その理由はさまざまですが、とくに多いのが入社前とのギャップだと考えられます。介護職は、資格がなくても働けるというメリットがある反面、人を抱えたりするなど体力を使う大変なお仕事であることには間違いありません。想像以上に大変な仕事であることに、入社後に気づく方も多いのでしょう。
そのため、現場をよくチェックし介護職員のヒアリングや情報共有をしている企業は、施設に入る要介護者だけでなく介護職員のことも本気で考え、よい環境、よい職場にしようと努力している企業といってもよいでしょう。
介護職のキャリア|介護職として働くメリットは?
このように、介護職で働く方々のため、そして今後介護職としてキャリアをスタートさせようとしている方のため、企業は環境改善に向けてさまざまな努力をおこなっています。では、実際に介護職として働く場合、働くメリットはどのような点にあるのでしょうか。
自分が働きたい場所を選べる
介護職の有効求人倍率は、【3.7%】という結果が出ています。(参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年9月分)職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))」https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/201912-G35.pdf)
有効求人倍率とは、1人あたりいくつの求人があるかを示したものです。つまり、現在は1人3~4の求人があると考えられます。事務職全体では【△1.4%】ですので、1人あたり1つも求人がないという状況です。1つの求人に対し何人もが殺到してしまう状況です。
「人手が足りていない」と思うかもしれませんが、見方を変えると、介護職なら「自分が働きたい企業を選べる」というわけです。給与が高いところ、お休みを取りやすいところ、スタッフの関係がよいところ、研修制度が充実しているところなど、自分が企業を選ぶ立場になってよりよい環境を選択することができるのです。
働く場所が変わっても活躍できる
また、資格を取得することができれば、さらに活躍の場を広げることができます。ずっと同じ企業に留まらなくても、資格を活かしてよりよい条件で働くことができる場所を見つければ、働く場所が変わったとしても活躍できるでしょう。介護福祉士は国家資格ですので、専門的なサポートができる人材として多くの企業で重宝されます。
勤続年数が上がれば給与も上昇しやすい
資格取得とも関連しますが、勤続年数が上がれば給与も徐々に上昇します。「年収が低い」と思われている介護職ですが、先ほどの給与の表を見てもわかるように、年次を重ねて業務の幅が広がれば給与が極端に低いということではありません。
ただし、介護職の給与は少し特殊で、施設の階級によって給与にある程度の差があります。要介護者の状態や運営形態の違いによって提供されるサービスが異なるため、そのサービス内容によっては給与に差が出てしまいます。働き方や給与など、総合的に考えることが大切です。
人の役に立つことができる
そして、なんといっても「人の役に立つ仕事」であり、とてもやりがいのあるお仕事だということです。決して楽な仕事ではありませんが、一方で非常に責任のあるお仕事です。目の前の方のサポートだけではなく、そのご家族にも感謝の言葉をいただくことができ、社会へ人へ、大きな貢献ができるお仕事なのです。
「だれかの役に立ちたい」「人と関わりたい」「人との関わりを通じて成長したい」という方に向いているのではないでしょうか。
自分が満足のいく環境を探すことが重要
今後も進んでいくと考えられる少子高齢化にともなって、ますます介護が必要となる状況は増えていくでしょう。ロボットやAIなど技術ももちろん進んでいくわけですが、やはり「人の手」には及ばないのです。
企業としても、早期に人材を確保すべく、職場環境の整備や資格取得のための教育・研修制度なども力を入れている企業も多くなっています。ぜひ、自分のキャリアの選択肢に「介護職」も含めて、今後のキャリアビジョンを考えてみてください。
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