ジェンダーギャップとは、性別の違いによって生じるさまざまな格差のこと。「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という考え方が、仕事や文化、日常生活に至るさまざまな場面で性別によって区別されることで生じる差別のことです。
じつは、この「ジェンダー」に関して日本は世界各国に比べ非常に後進的といわれています。「女性の活躍」「女性の管理職登用」「共働き世帯」が増加している一方、まだまだ男女平等とは言うにはほど遠い課題が内在しているのです。
「ジェンダー平等の実現」は何をもたらすか
2015年9月、国連サミットではSDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。2030年までに達成すべきものとして17の目標が掲げられましたが、その第5の目標として「ジェンダー平等の実現」があります。
長い歴史のなかで、差別や貧困、教育格差、暴力の対象となりやすかった女性は現在も男性に比べて弱い立場にあります。日本においても、とくにこの数年新型コロナウイルス感染症の大流行によって経済的にも非常に大きな影響を受けました。しかし、本来はすべての人が平等に機会を与えられ権利を行使できるべきであり、性別によってある特定の人々が不利益を被るようなことがあってはなりません。すべての人々が人間らしく暮らし、豊かで多様な社会をつくるためには「ジェンダー平等の実現」は欠かせないのです。
日本のジェンダーギャップの実態
では、日本におけるジェンダーギャップの実態はどうでしょうか。ジェンダーギャップを知るには、世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」を見るとわかります。
2021年3月に発表されたデータでは、日本のジェンダーギャップ指数は153か国中120位。G7では、なんと最下位でした。これは、欧米諸国だけではなく、同じアジアである中国や韓国、ASEAN諸国を下回る順位です。(参考:男女共同参画局「共同参画2021年5月号」)
とくに【経済】【政治】の分野が後れをとっている
ジェンダーギャップ指数は【経済】【政治】【教育】【健康】の4つの分野で分析されますが、日本はとくに【経済】【政治】の分野が順位を下げる要因になっています。
【経済】…男女間の賃金格差、年収格差、管理職の男女比など
【政治】…国会議員の男女比、閣僚の男女比など
もちろん数十年前と比べれば社会で活躍する女性が増え、その活躍を実感している方もいるでしょう。しかし、世界中の国々と比べてみればその差は歴然としていてジェンダー平等の実現に大きな後れをとっているのです。
企業が抱えるジェンダーギャップの課題
じつは、「ジェンダー」という点で見れば、日本ではこの働き方改革よりも早く「女性活躍推進法」を制定・施行し、女性の社会進出を推進してきた背景があります。女性活躍推進法とは、働きたいと意欲を持つすべての女性がその能力を存分に活かすことができる社会を実現するための取り組みとして、労働環境の整備や評価・賃金制度の見直しなどをおこなうように定めたものです。この女性活躍推進法によって、多くの企業で労働環境の見直しがなされるなど変化が起こりました。
2016年にこの女性活躍推進法が施行されてから約6年がたった今、果たして「女性の社会進出は成功した」といえるのでしょうか。「女性の社会進出」「女性の管理職登用」など数値で見れば徐々に向上していますが、はっきりと「成功」というのは難しいのが実態でしょう。
さまざまな改革をしても、実際には正しく制度が運用されていないということもよくあります。女性の社会進出を推進し男女平等の実現を目指してきたつもりが、制度を作ったり見た目だけの環境整備をおこなったまでで活用されていなかったり社員の意識が変わっていなかったりと、「企業本位の女性活躍推進」となってしまったのではないでしょうか。ジェンダーギャップ指数がその答えを示しています。
参考URL:改正女性活躍推進法で何が変わった?だれもがキャリアを築ける時代へ
参考:約半数の女性がジェンダーギャップを感じている
参考に、キャリアデザインセンターが実施したアンケートでは約半数の女性が職場でジェンダーギャップを感じているという結果も発表されています。(「第25回ジェンダーギャップを感じている?」)
企業ジェンダー平等を実現するメリット
性別によって給与が違っている、キャリアアップできない、責任ある仕事を任せてもらえないなど、女性が自身のキャリアプランを描いていく上で「性別」が不利益の要因になっていると感じているならば、その問題を認識し改善していく責務が企業にはあります。数十年前と比べればジェンダーギャップは少しずつ改善し実際に女性が活躍している企業も増えてきているので、ロールモデルがもっと増えていけば企業にとっても大きな財産となっていくでしょう。
女性にしかない発想、戦略、企画力……これらはさまざまなシーンで企業に大きなエネルギーをもたらしてくれます。また、労働力不足を解消する手立てにもなり、企業にとって優秀な人材を確保し育成するチャンスにもなるのです。女性が活躍する企業は、対外的にも注目されることが多く投資家や優秀な人材の目に留まりやすくなります。
ジェンダーギャップをなくしていくことは、女性が存分に能力を発揮し企業価値を向上させる大きな要素であり、企業にとって、ひいては日本経済にとって非常によい影響を与えてくれるのです。
あなたの職場は?ジェンダーギャップをチェックしてみよう
先述したように、ジェンダーギャップを解消していくためには、女性が働きやすい職場環境を整えるほか、制度だけではなく社員の意識改革も同時におこなっていく必要があります。
内閣府の男女共同参画局が発表している「職場のジェンダーギャップチェックシート」をぜひ活用し、“職場”という身近なところからジェンダーギャップを解消する行動をしてみてください。
出典:内閣共同参画局「職場のジェンダーギャップチェックシート(試作版)」
※上記チェックシートは当社にて作成
「ジェンダー平等の実現」は企業価値を向上させる
「うちの職場には男女格差はない」「みんな平等に働くことができる環境だと思う」……そう思っていても、無意識の偏見や思い込み(ジェンダーバイアスまたはアンコンシャスバイアスともいう)によってジェンダーギャップが生じているおそれもあります。もちろんこれは、女性だけに限られた話ではなく「男性だから育児休業を取得してはいけない」「男性が率先して力仕事を」「男性は社会で活躍すべき」という考え方もそのひとつです。「女性だから」「男性はこうあるべき」という考え方が日本にはまだまだ根強く残っており、そのような考え方が現在も女性の活躍を阻害する要因になっているのかもしれません。
「個人」が意識改革する必要がある
ジェンダーギャップを解消していくためには、国が、自治体が、企業が、そして個人が積極的に「男女平等」を実現するために行動しなくてはなりません。
とくに、人々の生活に直結する「労働」「職場」というシーンで、性別によって不利益が生じてしまうことがあってはなりません。その人の能力や価値観、実績、人となりを見て、「人」を評価してください。そうすることが、自社にとってよりよい影響をもたらしてくれる人材を獲得していくカギになります。さらに、企業価値を向上させ、日本社会も世界の国々に負けないよりよいものとなっていくはずです。
参考URL:“女性が活躍する職場づくり”に企業が考えるべきこと
当社は、女性活躍を推進・支援・サポートします
当社株式会社クラスは、創業以来女性の社会進出を推進しサポートしてきました。優秀な女性が結婚・出産といったライフスタイルの変化によってキャリアを諦めなくてはならないということがないよう、「働きたい」「活躍したい」という思いを大切に全面サポートし、これまで多くの企業様にご紹介してきました。
また、これによって企業が抱える人材に対する課題やお悩みも解決できると当社は考えます。これからの日本はさらなる労働力不足が懸念されます。女性の力が企業の労働力不足を解決する1つの手立てとなるはずです。ぜひ一度、当社にご相談いただき、企業様が抱える課題や悩みをお聞かせいただければと思います。
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