転職市場が回復しても、中高年層の転職には未だブレーキがかかった状態である日本。総務省が発表した2016年「労働力調査」では、1年間で離職した者は566万人、そのうち転職した者は306万人(前年比8万人増)という実態が明らかになり、年間離職者は8.7%、年間転職者は4.7%(15歳以上就業者を分母として算出)。
同調査における「年齢別転職者比率」をみていくと(下グラフ参照)、その転職率は15~24歳は最も多く14.4%、次いで25~34歳は7.9%であり若年層の転職率は大きい。しかし、35歳以降の転職率は4.1%と若年層と比較し大きく低下していることがみられる。
グラフ:年齢階級別転職者比率(2016年)
出所:総務省「労働力調査」
スキルや経験をもつ中高年層の転職は企業にも責任がある
転職市場が大幅に回復し中高年層の転職の門戸は広がっているともいわれるが、実際年齢比でみるとその比率は35歳以降急落。「転職35歳の壁」はいまだに存在するのではないかと思われる。
仕事で培ってきた知識やスキルを発揮できる職務やポストを社内では得にくくなり「社内失業」状態にある社員は、衰退産業を中心に推定200~300万人存在するといわれその多くはミドル層であるという実態がある。
しかしそのなかで、中高年層の転職にはまだブレーキがかかっていることが現状にある。「社内失業」状態にある中高年人材の新たな活躍や個人の新しいことへの挑戦、やりたい仕事ができる社会の実現に向け、中高年層の転職に関して企業も個人も再考していく必要があるようだ。
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