人材業界について

オリンピック景気と雇用 2020年の日本の姿とその後の景気後退

バブル景気を抜き、戦後3番目の長さとなったアベノミクスによる景気拡大。3年後に迫った東京オリンピックに向け、景気拡大は順調に進むことが予想されている。しかし、そうした景気回復はいつまでも続かないのが常である。1964年の東京オリンピックの際には、オリンピック開催後、高度成長期の最中「昭和40年不況(または証券不況)」といわれる不況に陥った。現在の朝ドラ「ひよっこ」もそうした不況の様子を映している。また、オリンピック開催国においてもそうした開催後の景気後退は同様にみられる。オリンピック開催国のその後の景気動向についての表が以下になる。

アトランタを除き、オリンピック開催後は軒並み景気は後退している。景気循環による「オリンピック景気」の反動はいずれの開催国でも起こっており、「2020年を境に」景気後退という見方は妥当であると考えられる。
今回、話題に挙げたいのは2020年を境とした雇用についてである。「2020年を境に」した景気後退から雇用環境はどうなるか。予測ではあるが、考えていきたい。
東京オリンピックに伴い建設業やサービス業を中心に新たに約81万人の人材のニーズが生まれるといわれている。しかし、人材難からそのニーズを埋めることは困難といえ、雇用条件や雇用環境の悪化に結びつく恐れもある。また、その人材ニーズは一過性のものであり、大会終了とともにニーズは消滅し、失業者が大量にでるとも考えられる。景気後退による人材流動もつながるであろうし、ネガティブな成り行きは数えきれない。
こうしたネガティブな流れから脱却するためには、国が進めていることでもあるが、2つ大きな方策がある。第一は、高齢者や主婦の人材活用を進めていくこと、第二に、若者の失業者・無業者の就労を支援することである。つまり、今働いている就労者の流動ではなく、潜在的な人材を活用していく仕組みを作ること、また各企業そうした人材の雇用を促進していくことが解決への近道といえる。「一億総活躍社会」が妄想ではなく現実化することが重要であろう。

「スポーツの祭典」オリンピック。子どもたちに夢を与え、国民に活気・勇気を与えてくれる。しかし、その後のインパクトは予想がつかないのが実際である。「2020年を境に」大きな変化があることは誰しもが認識し、その変化に準備をしていくことが重要である。5年後を見通した経営戦略・キャリア戦略が必要となるようだ。

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