人事・採用担当者向け

「withコロナ」の採用課題とその解決策を考える

新型コロナウイルス感染拡大によって、日本の労働市場や経済市場は大きく変化しました。「withコロナ」「afterコロナ」という言葉が生まれ、企業も求職者も新たな環境下で働くことについてこれまで以上に考えていく必要があります。そこで、今回はコロナ禍における労働市場の変化とそれに対する企業の取り組み、またコロナによって浮き彫りになってきた採用課題やその解決策について考えていきましょう。

「withコロナ」「afterコロナ」における取り組み

2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されてから、多くの企業ではさまざまな取り組みをおこなってきました。もちろん、弊社もそのうちのひとつです。ここでは、多くの企業で取り入れられた取り組みや工夫を簡単にみていきましょう。

働き方や勤務スタイルの見直し

感染症の拡大のため、オフィスワークを中心としてテレワークやリモートワークが積極的に導入されました。従来の「オフィスワーク」「事務所勤務」「通勤」の形が崩れ、自宅で仕事をすることを強制されるようになりました。テレワークは海外では当たり前のようにおこなわれていますが、日本には一部を除いて定着しておらず、非常に大きな変化であったといえます。

テレワークの定着度合い

ここでは参考として、パーソル総合研究所から発表された2つのグラフをもとに、テレワークに関する企業の意識や行動の変化をご紹介します。調査対象の企業や時期にも変わりますが、全国のテレワーク実施率は5~6月ごろは20%~30%くらいが目安です。緊急事態宣言の前後で変動が見られ、緊急事態宣言が解除されてからはテレワークを解消した企業も多いようです。テレワークがあまり定着していないことがわかります。

テレワークが定着しない理由

また、下記のグラフはテレワークができない理由に関するものですが、テレワークが定着しない理由として「テレワークができる環境整備ができていない」ということが挙げられています。ほかにも、「withコロナ」の時代になったとしても、業務内容や職種の特性上テレワークが適していないということもあるでしょう。医療や介護などエッセンシャルワーカーの方や販売職の方、ほかにも多くの業界がさまざまな影響を受けているのが現状です。

出典:パーソル総合研究所「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査

採用活動を「非対面」へとシフト

日常業務がオンラインになっただけではなく、採用活動も一気にオンライン化し非対面でおこなわれるようになりました。地域、企業、職種によっては、採用活動を中止せざるを得なくなったケースもあるほどで、大きな影響を受けることになってしまったのです。少子高齢化にともなう労働人口の減少も大きな課題としてあるなか、コロナウイルスの影響により【これまでと異なる採用活動の必要性】を感じた担当者も多いはずです。

徐々に浮き彫りになった課題

では、採用活動がオンライン化することによって、どのような課題が浮き彫りになったのでしょうか。

社外との間に生まれた課題

まずは、社外との間で浮き彫りになった課題を考えてみましょう。多くは、オンライン化によってコミュニケーションが円滑に進まないことが考えられます。

  • 求職者があふれ選考に時間がかかる
  • 求職者と直接会えなくなる
  • オンライン化により求職者の雰囲気や印象を把握しにくい
  • 慣れないオンライン化で選考スピードがあがらない
  • イベントなどの中止により企業アピールをしにくい

想像以上に課題が多く、四苦八苦した企業も多いようです。慣れないWeb面談やWeb説明会に難しさを感じたのではないでしょうか。

社内で生まれた課題

つづいては、社内の環境に関した課題です。大きな課題となったのは、ネット環境の整備とセキュリティ対策でしょう。

  • ネット環境の整備に手間、費用がかかる
  • セキュリティ面での不安がある
  • 書類作成や確認、承認の手間がある
  • 情報共有などコミュニケーション不足になる

採用活動のオンライン化は、環境整備だけではなく社員ひとりひとりのセキュリティ意識も重要になります。情報漏洩など重要な問題に発展することがないよう、ITリテラシーの観点からも大きな課題が残っているのです。

それでもオンライン化を進めていくメリット

このように、多くの課題が残るコロナ禍での採用活動のオンライン化ですが、それでも企業がオンライン化を進めていくメリットはどこにあるのでしょうか。

  • 感染の不安をなくすことができる
  • 感染拡大による業務停止を防ぐことができる
  • 遠方者とのコンタクトも取りやすくなる
  • 移動時間など、無駄な時間を削減できる
  • 工数削減により、別の業務に時間をあてられる

現状、まだオンライン化は完全に定着していないといえますが、状況に応じて対応できる環境を整えていくことは今後も必要となるでしょう。採用活動においてもこれは同じで、オンライン化による感染防止や工数削減は必須項目といえます。

「withコロナ」の採用課題と解決策

「withコロナ」「afterコロナ」という状況が続くとされる今、企業が採用活動を成功させ、優秀な人材を採用しマネジメントするにはどうすればよいのでしょうか。

解決策1:採用活動計画を見直す

まずは、採用活動計画の見直しです。コロナウイルスの影響により大きな影響を受けたからこそ、今後もしっかりと対応できる採用計画を練り直しましょう。

  • 採用からマネジメントまでのスケジュール調整
  • 各部署の人員調整
  • 採用コストの確認、調整
  • 採用活動における選考方法の見直し

優秀な人材を確保するにあたり採用コストは必ず発生します。しかし、減らせる工程がないか、今一度確認してみてください。たとえば、適性検査を導入して企業と候補者とのミスマッチを事前になくしたり、採用基準のズレをなくすよう候補者の情報共有などを徹底したりすることにも注力しましょう。具体的な選考に入る前に母集団形成をしておくことで、採用計画から大きく外れてしまうことを防げます。

解決策2:オンライン化、テレワークなどの整備

次に、オンライン化の徹底・整備です。採用活動では、書類選考後に直接顔を見て面接するのが主流ですが思うようにできず、採用活動がストップしてしまった企業も多数見られました。環境の変化に動じず対応できる企業は求職者にも選ばれやすく魅力的にうつります

  • システムの導入
  • 環境の整備
  • オンライン化による課題やフローを見直す

オンライン化が整えば求職者との選考もスピーディーに運びやすいですが、オンライン化すると互いの情報が伝わりにくい点が問題となります。この課題は解決策1にもあるように、採用活動全体を見直し、情報共有の制度や面接フローなどを精査、調整することがカギです。採用担当者が複数いる場合などはとくに注意しましょう。

※【参考】テレワークに関する支援

「テレワークを導入したいけど不安」「セキュリティに関してよくわからない」という企業は、ぜひテレワークに関する支援・相談業務をおこなっている自治体や機関を利用するなど検討してみるとよいでしょう。申請条件や期限はそれぞれ異なります。詳しくは、各機関へお問い合わせください。

■総務省:「令和2年度テレワークマネージャー相談業務
■一般社団法人サービスデザイン推進協議会:「IT導入補助金2020
■公益財団法人東京しごと財団:「テレワーク活用推進コース

解決策3:社内の勤務体制や労働環境を見直す

最後に、社内全体の勤務体制や労働環境の見直しです。近年、とくに働き方が多様化しています。採用活動計画の見直し、オンライン化の整備と同様に労働環境も今一度見直してみましょう。

たとえば、「テレワークを義務化する」というより「テレワークと出社を選べるようにする」ほうが、社員にとっては選択肢が増えます。仕事をするにあたり業務に支障がない範囲で、社員それぞれが働きやすい環境を整えてあげるとよいでしょう。社員の会社に対する意識や評価もプラスに働き今後入社する人材にとっても魅力的です。

参考URL:リモートワークの課題は?「仕事の見える化」の重要性

「withコロナ」時代に合った採用を

これらの解決策を一気に実施することは少しむずかしいかもしれません。しかし、労働市場や環境がどんどん変わっていくなかで、それに適した環境を整えることはとても大切です。

とくに、採用活動におけるオンライン化の定着・継続は重要です。現在の状況がいつ終わるのかわからない今、「withコロナ」という状況を受け入れ解決策を考え実行しておくことが功をなすと考えてもよいでしょう。これからオンライン化を進めていこうとしているならば、そこに時間を取られてしまうのは確実ですから、上記の解決策に加えて、外部の採用システムを利用するなど工夫し、効率のよい仕組みづくりを検討してみましょう。

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