コロナウイルス感染拡大の影響で、転職市場にも大きな影響があることを企業も転職希望者も実感していることでしょう。ワクチンの先行接種が始まり、徐々に収束への光も差し込んできたような気もしますが、地域によってはまだ緊急事態宣言が発令されたままで、不安な状況に変わりありません。
さて、これまで、営業職(【担当者必見】営業職の採用|優秀な人材を採用するポイントは?)、事務/アシスタント職(事務職の転職市場はどうなる?コロナ禍における事務職採用のカギ)、販売/サービス職(サービス職の採用を成功させるには?「人材の定着」にも注目)について、それぞれを取りまく転職市場や採用を成功させるポイントなどをご紹介してきました。
そこで、今回は、企画・管理職にスポットをあて、転職市場の動向や採用のポイントをお伝えします。
企画・管理職を取りまく転職市場
参照:doda「転職求人倍率レポート(データ) 」2021年2月18日発表分をもとに作成
ほかの職種同様、企画・管理職の転職市場にもコロナウイルス感染拡大の影響があります。ただし、以前としてコロナウイルスによる先行きの不透明感があるものの、求人数は徐々に戻りつつあり、求人倍率も増加しています。
コロナ禍では、企画・管理職だけに関わらず全体として「即戦力」を求める企業が多いのが特徴です。とくに、企画・管理職は新卒やポテンシャル採用の割合は少ないため、優秀な人材が転職市場にでれば取り合いになる可能性も否めません。選考においてはじっくりと人材を見極めつつも、レスポンスやスケジュール調整などはスピーディーに対応することがポイントとなります。
企画・管理職での転職を目指す人材の特徴
企画・管理職は数ある職種のなかでも、新しい事業を企画してリードしたり人事や資金戦略などで経営をサポートしたりするなど、非常に重要な役割を担う職種です。どちらも人気のある職種ですが、どのような人材が企画・管理職として転職を目指しているのでしょうか。
キャリアアップを目指す人材
企画・管理職の転職者は、比較的経験やスキルが高い優秀な人材が多く年齢層が高いのが特徴です。たとえば、ひとつのデータとして、dodaの「みんなは何歳で転職している?転職成功者の年齢調査(2019年上半期)」という調査があります。この調査によると、企画・管理職はの転職成功者は【35歳】という結果で、どの職種よりも転職年齢が高いようです。現在は、コロナ禍ということもあり、全体的に転職者の年齢には幅がでてきており40代や50代の方も増えています。
一般的に、20代の転職者は、失敗を怖がらずにチャレンジできる環境を求める傾向にあり企業も将来のポテンシャルに期待して採用することが多いです。しかし、30代ではキャリアに対する志向も少し変わり、「これまでの経験や今持っているスキルを活かしたい」と、自身の成長やキャリアアップに重きをおく人材も多くなります。
また、新しい経験ができる場所を求めたりチームをまとめながら新しい事業を推進したりするなど、より大きな裁量を持って働ける環境を求める人材も多いです。
企業への貢献度を重視する人材
キャリアアップとも重なるところがありますが、自身の活動や活躍が企業へどのくらい貢献できているのか、企業成長にどのようにして携わることができるかということを考える人材も多いです。
サービスや商品などを生み出す企画職と、人事や資金面で経営を支える管理職。役割は違っていても経営にとって欠かすことができない職種ですので、日ごろから企業への貢献に対し責任感ややりがいを感じている方も多いのでしょう。
探求心、開発意欲のある人材
さらに、新しい戦略・商品・事業を生み出したり、潜在的な課題やニーズを発見して解決したりするなど、開発意欲のある人材も多いです。「企画」といってもさまざまな種類がありますが、ゼロから何かを生み出すプロジェクトなどに携わることも多く、消費者動向や市場調査から始まり、マーケティング、分析、発案など、事業のスタートに立つこともたくさんあります。そのため、日ごろからトレンド志向を持ち、情報に対して敏感な方が多いです。
バックオフィス部門の要となる管理職も同様です。企画職のように、華々しい業務や市場など外部への露出は少ないですが、社内の課題や問題点など現状を把握し、細かい分析から解決の糸口を見つけだすなど、非常に責任の大きな職種です。業務の範囲も幅広く、社内のトラブルや予測不能な状況に対して迅速な対応が求められるなど専門性も必要ですので、難題にも果敢に取り組むことができる精神面の強さと経験がものをいいます。
企画・管理職の採用を成功させるには
企画・管理職での転職を目指す人材の特徴は、「転職の目的が比較的明確である」という点が大きな特徴です。コロナ禍においては企画・管理職だけに関わらず、新卒採用やポテンシャル採用の割合が減少していて、より経験者採用の傾向が強くなっているので、「そのなかでもより優秀な人材を採用するためにはどうすればいいか」という観点から採用のポイントをお伝えします。
キャリアパスを明確に示す
まずは、入社後のキャリアパスを明確に示すようにしましょう。優秀な人材も多いので、入社後のキャリアビジョンが不透明だと会社への不信感につながります。また、「これまでの経験やスキルをどのようにして活かせるだろうか」と考えている方も多いので、目指したいキャリアに向かうための道筋が自社にはあることを明確に伝えるとよいでしょう。
企業のビジョンや方向性をしっかりと共有する
つぎに、企業のビジョンや方向性をしっかりと共有するようにしましょう。30代になると、これまでの経験とスキルをもって、社内や業界を俯瞰できるようになる方も多いです。それと同時に、「このままでいいのだろうか」「ここで成長できるのだろうか」と不安を感じる方もいます。その不安が転職へとつながる1つの要因です。
そのため、候補者に対しては、選考の段階で企業のビジョンや方向性をきちんと伝えておくことが大切です。候補者は、自分がもつ志向と企業のビジョンがきちんとマッチングするかという点もチェックしているはずですので、お互いの意思を共有することが大切です。
裁量やマネジメントに対する寛容性を示す
そして、裁量やマネジメントに対する寛容性を示すことも大切です。企画・管理職の転職者は、比較的年齢層が高いとお伝えしました。経験とスキルが身についているため、「ある程度の裁量をもって働きたい」と考える人も多いです。また、チームをまとめるようなマネジメントにも興味を持つ人材も多いでしょう。
そのため、自由な裁量を与えられないようなフィールドでは窮屈に感じてしまいます。可能なかぎり寛容に意見を聞き入れ、対応することも大切です。
入社までのコミュニケーションを大切にする
そして、候補者に対し、選考を通して内定、入社までのコミュニケーションを大切にすることを忘れないでください。企業理念や事業の方向性などに共感してもらうのはもちろんですが、「ここなら目標に近づけるかも」「ここで働きたい」「ここでどれだけ結果を出せるかチャレンジしたい」と候補者に思ってもらうことがなにより大切です。
候補者には、選考を通してキャリアビジョン・キャリアプランを確認し、自社で活躍できるフィールドがあることを明確に伝えるようにしましょう。
「キャリアアップ」に軸、入社後をイメージさせることが◎
企画・管理職は業務の専門性も高く、すぐにスキルを身につけることが難しい職種です。しかし、その経験やスキルを持てば、さまざまなシーンで活躍することができる優秀な人材も多いのも事実です。優秀な人材と出会い、活躍してもらうには、選考を通して入社後の活躍をイメージできるようフォローしてあげるとよいでしょう。
企業としての課題や今後のビジョンなどを候補者と共有し、「あなたの力が必要だ」ということを明確に伝えることができれば採用成功の糸口となるはずです。
コメント