人事・採用担当者向け

人材の定着率向上には“リテンションマネジメント”の導入を!

「優秀な人材を雇ったのにすぐやめてしまった」「社員が定着しない」とお悩みではありませんか新型コロナウイルスの影響で採用人数を減らしたり中止したりしている企業もありますが、とくに中小企業では慢性的な人材不足定着状況に対する不安を抱いていることも多く、これは今後も大きな課題となるでしょう。

優秀な人材を確保し、できるだけ多くの人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか。今回は、人材が定着しない理由や、優秀な人材が自社に長くとどまり活躍してもらうための改善策をご紹介します。

「定着率が低い」原因は退職者からヒントを

社員の定着状況を表すときは、「定着率」や「離職率」という指標を用います。定着率とは、「入社した社員が一定期間でどのくらい定着しているか」を表した指標のことです。離職率はその逆を表し、「入社した社員が一定期間でどのくらい離職したか」を示しています。

厚生労働省の発表によれば、新卒社員が入社後3年以内に離職する割合(離職率)は、約30%に及びます。

参考:厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況

新卒社員はスキルや経験が豊富ではなくとも、企業の将来のためには不可欠な存在ですから、企業は「これからの活躍が期待される人材」を多く失っているということにもなります。その人材が優秀であればあるほど企業にとっての損失は大きいです。新しい人材を採用するとなると、さらに時間もコストもかかってしまいます。

退職する理由は人それぞれですが、その退職理由に“優秀な人材を定着させる理由”、つまり“企業が解決すべき課題”が隠れていると考えることもできるのです。

優秀な人材が定着しない原因

優秀な人材が定着しない原因は退職理由に隠れているとお伝えしましたが、優秀な人材の退職理由として多いのはこのような理由が考えられます。

キャリアビジョンを描くことができない

仕事をこなすだけでなく、達成した仕事に対して評価をもらい、新たなポジションを獲得しながら常に進んでいきたい人材にとって、「キャリアビジョンが描けない」ことはストレスです。多様な選択肢から将来進みたい方向を選んだり明確なビジョンを描いたりすることができなければ、企業に対する魅力も薄れてしまいます

正しく評価してもらえない

成果をだしてもそれに見合った評価を得られなければ、不満を募らせてしまうばかりです。給与や賞与だけでなく活躍に見合ったポジションや待遇が用意されていない場合、より自分を評価してくれる場所へと転職を考えるきっかけとなるおそれもあります。

自分の考えを自由に発信できない

挑戦意欲のある人材にとって「自分の意見を自由に発信できないこと」「フレキシブルに活動できないこと」は、窮屈で物足りなさを感じてしまいます。

企業への貢献度が見えにくい

営業成績や仕事の量だけでは、企業への貢献度を感じることはできません。幹部や経営者など、より高キャリアの人物と出会う機会がなく、会社のゴールやビジョン、理念などが常に共有されない場合、企業への貢献度や大きなフィールドでの活躍を感じにくいでしょう。

優秀な人材を定着させるための改善策

上記のような問題を解決するには、企業として“リテンションマネジメント”をおこなうことが重要です。リテンションマネジメントとは、成果の高い人材や将来性のある人材が長期的に自社で能力を発揮し、自社で活躍するために企業がおこなう人事施策のことです。

じつは、厚生労働省の調査によると、若手の人材を定着させるための施策として、何らかの取り組みをおこなっている企業は72%となっており、多くの企業ですでに定着率を向上させるための対策をおこなっているのです。しかしながら、まだまだ大きな効果を得られていないことも多いようです。

参考:厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査

そこで、より優秀な人材を定着させるための施策として、ぜひ企業はリテンションマネジメントを導入・実施し、自社での活躍を支えるよう働きかけていくとよいでしょう。

リテンションマネジメントの具体例

1.キャリアやポジションに合った教育・研修

優秀な社員は、自分の目標達成や成長のためにそれぞれキャリアビジョンや計画を持っています。そのため、そのキャリアビジョンや現在のポジションに合わせて、最適な教育や研修が受けられる体制を整えてあげることが大切です。
また、性別によっても教育フローに変化をつけるのもよいです。女性はとくに、ライフイベントによって働き方を変えなくてはいけなくなったり、キャリアビジョンに変化が生まれたりすることも多いです。それぞれのペースでキャリアを歩んでいけるような対策が必要です。

2.透明性が高く風通しのよい環境づくり

優秀な人材が自由に発信できる環境づくりも大切です。とくに、自分の声が経営者や幹部まで届くような環境であればモチベーションもアップします。社員が日々タスクをこなすだけでなく、個人が自由に発信でき、さらに経営意識やマネジメント意識を持てば、より企業としての層も厚くなるはずです。
また、風通しのよい環境なら良好な人間関係を築きやすく、他部署とのコミュケーションなども円滑になるため、アイデアも生まれやすいでしょう。

3.選択肢が多く柔軟性のある制度の構築

子育てや介護など、家庭環境に応じて柔軟に働き方を選べるような制度があると、社員にとっては魅力的でしょう。働き方に変化が生まれても、適性に社員を評価できるよう、評価制度も丁寧に整備しましょう。

4.待遇や福利厚生の整備

仕事とプライベートが両立できるよう、待遇や福利厚生を充実させることは社員の健康とモチベーション継続のためには欠かすことができないポイントです。
産休・育休制度だけではなく時短勤務やフレックス制度など、従来の勤務体制以外の勤務体制を提案し、ワークライフバランスを実現できるようによいでしょう。

また、近年では副業をする人も増えています。副業を認可することも個人のワークライフバランスや働き方改革を実現するうえでは、重要なポイントになります。副業によって、新たな知見が生まれたりアイデアや技術を獲得できたりすれば、その社員の成長にもつながります。

5.適正な評価・給与・人事配置の設定

社員ひとりひとりを適正に、公平に評価できる体制の整備です。給与や賞与をはじめ、人事配置なども含まれます。適正な評価ができていないと、企業に対する不信感につながります。優秀な人材を自社で活躍するためにも、誰もが納得できる評価制度であることが大切です。

社員の不安・不満を取り除き働きやすい環境整備を

「定着率が低い」「離職率が高い」ということだけで、企業の善し悪しが判断できるとは限りません。しかし、「どうしてやめてしまったのか」をしっかりと分析すれば、自社の弱点や課題を知ることができます。

弱点や課題を可視化でき、社内で共有・改善が進められれば「働きやすい職場」「正しく評価してもらえる会社」として、社員の満足度も上がります。結果的に、優秀な人材が流出してしまうのを防ぎ、企業全体の成長・成果にもつながっていくでしょう。

ただ「社員を引き留めたい」というだけでは課題が見えにくく、具体的な改善策を導入することは難しいですが、原因が分かれば、より確度の高い改善策を導き出すことができるでしょう。ぜひ一度、退職理由を精査し自社の弱点や課題を見つけ、リテンションマネジメントを導入してみてはいかがでしょうか。

株式会社クラスでは20代~30代の若い世代を中心に、企業様のお悩みをもとに人材をご紹介させていただきます。「優秀な人材を確保したい」とお考えの担当者様は、ぜひ一度株式会社クラスにご相談ください。

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