「女性の社会進出」「女性が輝く社会」という言葉を聞くようになってからしばらく時がたちました。安倍内閣の最重要施策として“女性活躍推進法”が成立し、女性が活躍するための政策や指針が多数策定されてきたなか、企業もこの政策をもとに積極的に女性を採用し労働環境整備に取り組み、実際に活躍の場を広げた女性も増えています。
女性を採用することは企業にとってもプラスになることが多いのですが、実際には「女性をなかなか採用できない」「むずかしい」と感じている担当者も多いようです。
現時点ではすべての女性が活躍できる環境になったとはいえませんが、女性を採用するメリットや女性採用を実現するために企業が取り組むべきことを考え、このような社会的状況下でも負けない人材育成、企業価値向上を目指しましょう。
女性を採用するメリット
まずは、企業が女性を採用するメリットを考えてみましょう。女性を採用することが企業にとってどのようなメリットをもたらすのか、たくさんのデータにも表れているようです。
1.優秀な人材を確保できる
現在、大学に進学する人も多く、将来を見据えて専門知識を身に付ける人が増えました。高学歴であることが優秀なビジネスマンの定義ではありませんが、性別にかかわらず優秀な人材を確保できるのは企業にとって大きなメリットといえます。
2.生産性が向上する
公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、「女性の活躍によって生産性が向上する」というデータもあります。
約20%が「業績向上の要因の一つになっている」、約30%が「業績向上へのつながりはみられないが、組織が活性化するなど変化がある」と答えており、約50%の企業で「女性の活躍による変化がみられる」と回答しています。
参照:公益財団法人日本生産性本部「第8回「コア人材としての女性社員育成に関する調査」 結果概要」(https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/R65attached.pdf)
3.多様性が生まれる
たとえば、男性の多い職場では、女性を採用することで女性目線の意見を取り入れることができ、新たな文化や価値観が生まれることもあるかもしれません。さまざまな人の意見を取り入れることで、多様性のある企業へと成長する可能性も高まります。
4.企業認知度が向上する
また、実際に女性が働いていることで厚生労働省など公的機関からも「女性活躍を推進している会社」として認めてもらえるかもしれません。公的機関からの認定は、就活生や転職者からも「信頼性の高い企業」だとよい印象を持ってもらえます。
5.企業価値を向上できる
優秀な人材を確保でき多様性が生まれ、企業としての認知度も向上し、周囲に認められるようになると、おのずと企業価値も向上していくでしょう。短期的な利益ではなく、企業としての社会的価値を生みだし、企業全体の成長に大きく関与するはずです。
女性の労働環境の実情
つづいて、女性の労働環境の実情をみてみましょう。下図を見ると、出産を終えた女性のうち、86%は就業を希望していることがわかります。家族が増えたことによって生活費が必要であることや、子どもの教育費の不安を解消するためなどが、就業を希望する主な理由です。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書」(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/report15html/NFS15R_html09.html#h3%202-4-1)
しかし、「働きたい」と考えている女性の意に反して「辞めざるを得ない」「仕事と育児を両立できない」といった理由で、やむなく退職してしまっている方が多いというのも事実です。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、第一子の出産を機に退職した人が46.9%と、女性の出産にともなう退職は高い状況にあることがわかります。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書」(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/report15html/NFS15R_html09.html#h3%202-4-1)
女性活躍・社会進出を妨げる問題点
では、国全体で女性活躍推進を目指しているにもかかわらず、女性の活躍を妨げる問題とは何なのでしょうか。
<女性の立場>
- ライフイベントに左右されやすいこと
- 仕事と家庭の両立をバランスよく保てないこと
<企業の立場>
- 復帰後に活躍したロールモデルがないこと
- 労働環境整備に時間をとれないこと
とくに、大きな要因として考えられるのは、結婚や出産によって短期離職してしまうケースです。優秀な女性を採用しても、結婚や出産による退職が想定されるため採用に至らなかったということもあるでしょう。
また、短期退職してしまった場合、その後新しい人材を採用することになれば、1人あたりおよそ年収相当のコストがかかるというデータがあります。採用活動においては、コストも不安材料のひとつといえます。
参考:株式会社アッテル「離職率が1%改善すると、どれだけ利益貢献するか?」(https://blog.attelu.jp/entry/turnover-rate-profits)
女性活躍を進めるために企業がやるべきこと
とはいえ、企業は、日本の労働人口の減少や人手不足を無視することはできませんし、労働者にとっても「働くこと」は生きていくうえで避けて通ることはできません。
人生100年時代といわれるなか、とくに女性の平均寿命は男性に比べて長いため、健康で豊かに暮らすには、女性が働き続けることは重要なことなのです。実際、41.3%の人が「現役で働く期間を延ばす」ことで、資産寿命を延ばしたいと考えています。
出典:日本FP協会「世代別比較 くらしとお金に関する調査2018」(https://www.jafp.or.jp/about_jafp/katsudou/news/news_2018/files/newsrelease20181105.pdf)
このような社会的状況や労働市場でも、女性が輝き、企業にとってもプラスとなるにはどのような対策をおこなえばよいのでしょうか。具体的には、以下のようなことから取り組んでみましょう。
1.固定化した経営意識、労働意識を取りはらう
まずは、「男性が活躍すべき」「女性は重要ポストに就けない」「女性は寿退社する」など、先入観を取りはらいましょう。性別によって仕事内容や役職に差が生まれてしまうことがないよう、固定化した意識をなくすことが大切です。
2.現状をよく調査、分析し、労働環境を見直す
自社の現状をよく分析してみましょう。女性が長く働くことができる環境が整っていますか?女性が家庭の事情や健康面での不安や問題を相談できる環境が整っていますか?
女性が育児をしながら働くためには「時短勤務」が必要不可欠といってもよいでしょう。18:00まで勤務できなくとも、「17:00までなら働ける!」という方も多いです。最近は、コロナウイルスの影響もあり社内全体で時短勤務を取り入れた企業も多いため、「時短を続けてもそれほど影響はなさそう」と感じた方も多いはずです。これを機に、ぜひ新しい勤務時間の提案も視野に入れてみましょう。
女性にはライフイベントを避けることができないですから、育ててきた優秀な人材を逃さないためにも、企業が長く働き続けられる環境を整えることが大切です。
3.積極的に自社の従業員に対し周知する
環境を整えても、社員が認識していなければ意味がありません。産休や育休の制度があっても、実際に取得し復帰した女性がいないと「取得の前例がないし……」と感じてしまいます。
積み上げてきたキャリアをライフイベントによって手放すことがないよう、会社や組織としていち早くロールモデルをつくり、支援するようにしましょう。
キャリアを活かせる環境づくりを!
女性が仕事と家庭をバランスよく両立できるかは、周囲の理解や支援によってかわります。優秀な女性を採用し、育成してきた企業としても、優れた人材を逃すのはもったいないことです。企業は、研修や資格取得の支援をはじめ、女性がキャリアや経験を活かせる環境づくりを目指しましょう。
採用課題の解決はクラスへご相談ください
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