働く女性にとって「働きやすい職場」というのは、環境だけではなく、企業の雰囲気や風土、周囲の理解なども重要なポイントです。しかし、就職・転職の際、外から見るだけでは企業の実態が見えにくいという方も多く、女性にとって働きやすい企業かどうかをどのように判断すればいいかわからない方もいるでしょう。
そこで、日本では女性が働きやすい企業の判断基準として、さまざまな認定・認証制度を導入しています。一定条件をクリアした企業が国から正式に認定・認証を受けているので、就職・転職時の企業研究に役に立ちますし、入社後も安心して働くことができるのです。「女性にとって働きやすい職場」についてぜひ参考にしていただき、長く活躍する自分を想像しながら転職活動に活かしてくださいね。
女性が働きやすい職場の定義とは?
働きやすい職場というのは、人それぞれ希望や悩みも違うため一概にはいえませんが、たとえば以下のようなことがあげられることが多いです。
- 人間関係が良好である
- 時間外労働が少ない
- コミュニケーションがとりやすい
- 信頼して相談できる上司がいる
- 育児や介護などに対して理解がある
- 時短・テレワークなど柔軟な働き方ができる
- 有給を取得しやすい
- オフィスがきれいで設備が整っている
その人の家庭状況や環境、職場での地位などによっても働くうえで「働きやすさ」を求める基準が異なってきますが、仕事を進めるうえで、また生活を送るうえで、”必要以上にストレスや負担がかからないこと”が、大切な要素になります。
「女性が働きやすい職場・会社」を判断するための基準
そこで、働く女性にとって、働きやすい職場を見つけるため参考にしていただきたいものがあります。それは、国や自治体がある一定の条件を満たした企業に対し公的に認定しているもので、その取り組み内容などによって各種認証マークが決められています。今回は、そのなかから一部をご紹介します。
えるぼし認定(えるぼしマーク)
「えるぼし認定」とは、女性活躍推進法にもとづき一定基準を満たし女性の活躍推進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。女性が能力を発揮しやすい環境が整えられているかを5つのカテゴリーで評価され、その実績は毎年公表することが決められています。令和3年3月末日時点で、えるぼし認定を受けた企業は全国で【1301社】、大阪では【71社】となっています。
また、より高い水準の基準を満たしている企業には「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。プラチナえるぼし認定は令和2年6月1より追加されたもので、令和3年3月末日時点では全国で【13社】の企業が認定を受けています。
参考:厚生労働省「女性活躍推進法への取組状況」
くるみん認定(くるみんマーク)
「くるみん認定」とは、次世代育成支援対策推進法(急激な少子高齢化に対応しこれからの社会を担う子供たちの健全な育成を支援するための行動指針・計画などを定めたもの)にもとづき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち計画に定めた目標を達成し、一定基準を満たした企業に対して認定するものです。
厚生労働省からくるみん認定を受けた企業は子育てサポート企業として、仕事と家庭との両立に対し充実した支援・取り組みをおこなっています。また、平成27年4月1日からはより高水準の要件を満たした企業に対し「プラチナくるみん認定」を受けることができます。
令和3年3月末日時点で、くるみん認定を受けた企業は前全国で【3543社】、大阪では【187社】、プラチナくるみん企業は【425社】が認定を受けています。
参考:厚生労働省「くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧」
男女いきいき・元気宣言
「男女いきいき・元気宣言」とは、平成15年度から大阪府が認定しているものです。「女性の能力活用」や「仕事と家庭の両立支援」など職場の男女共同参画に向けた取り組みを推進し、性別にかかわりなく誰もがいきいきと働くことができる企業を目指し、がんばる事業者を「男女いきいき・元気宣言事業者」として登録し支援しています。
男女いきいき・元気宣言には3段階あり、「登録」「認証」「表彰」があります。「登録」からステップアップし、さらなる女性活躍推進に向けて取り組む事業者には「男女いきいきプラス事業者認証制度」にもとづき「認証」、さらに独創的・先進的な取り組みをおこなっている事業者については選考のうえ「表彰」をうけることもできます。
参考:大阪府「男女いきいき」各種制度
▼弊社も、男女いきいき・元気宣言事業者として登録を受けています!
関連記事:「男女いきいき・元気宣言」登録事業者として認定されました!
女性活躍リーディングカンパニー
大阪市では、「女性活躍リーディングカンパニー」認証制度を導入しており「仕事と生活の両立支援に関する措置」や「男性の育児休業等の取得促進の取り組み」など、一定の基準を満たしている企業を認証・支援しています。
家庭環境やライフスタイルによって雇用形態は異なるものの、今や女性が社会で働くことは当たり前になりつつあり、前向きにいきいきと仕事に取り組まれる方がたくさんいます。また、こうした女性を積極的に採用する企業が社会的に評価される動きもみられます。
参考:大阪市「大阪市「女性活躍リーディングカンパニー」認証」
▼弊社も、大阪市女性活躍リーディングカンパニーとして認証を受けています!
関連記事:【お知らせ】「女性活躍リーディングカンパニー」に認証されました!
その他の認証マーク・認証制度
ほかにも、以下のような認定制度があります。
- ホワイト企業認定
- ユースエール認定制度
- エコ・ファースト制度
- なでしこ銘柄
- 健康経営優良法人認定制度
これらの認定制度は国や自治体などが公的に認証しているものなので信頼できる指標であり、労働者が企業・職場を選ぶときの企業研究に役立ちます。「女性が多く活躍している職場」「若い世代が活躍している職場」「子育てと仕事の両立をサポートしてくれる職場」など、ご自身のビジョンや思いとマッチする企業を探すためによい指標となります。
各種認証制度や認証マークのメリットは?
これらの認証制度・認証マークの取得は、働く人々にとっても、また企業にとってもさまざまなメリットがあります。
■労働者にとってのメリット
- 働きやすい企業を選ぶひとつの判断材料になる
- 入社後のイメージがわきやすい
- よりよい環境で働くことができる
■企業にとってのメリット
- 企業の認知度がアップする
- 認知度アップにより人材確保ができる
- 国や自治体から情報やノウハウの提供など支援を受けられる
「認証を受けること」がゴールなのではなく、認証を受けることでさらなる企業の飛躍にもつながります。働く人々にとっては、よりよい環境で自己実現ができることで、社会への貢献ややりがいを感じることもできるでしょう。
「企業を選ぶ立場」であることを改めて認識しよう
就職活動・転職活動というと、どうしても選考のなかで「企業から選ばれる人間になりたい」と考えてしまうこともあるでしょう。それはもちろん間違いではないのですが、企業を選ぶ立場に立って企業研究をしてみることも大切です。
「自分にとって“働きやすい職場”ってなんだろう」
「こんな取り組みをしている企業は好感が持てるな」
「女性がたくさん活躍している企業がいいな」
「子育てに対して理解があり支えあえる会社がいいな」
など、企業の取り組みや文化、価値観などをもっと自分なりに考えてみましょう。そうすることで、企業をもっと深く知ることができますし、長く働くイメージもわいてきます。そんな企業を知る、選ぶためにも、ぜひここまでご紹介した認証制度・認定マークを参考にしてみてくださいね。
働く環境を改善することは、決して女性だけのためではありません。また、その内容も、出産や育児のためだけではありません。その企業で働く全員の環境を改善することにもつながり、ひいては企業の存続にもつながっているのです。働く人々それぞれが企業を選ぶ立場となって問題提起をしつつ、よりよい職場環境づくりへとつながっていけば、日本の労働市場がもっと多様な社会となっていくのではないでしょか。
関連記事:女性を採用するメリット|女性の社会進出はどんな利益をもたらすか
【企業がやるべきこと】働きやすい職場を実現するためには?
認証制度は企業にとっても大きなメリットがありますが、これは働きやすい職場を実現できたあとに認められるもの。つまり、認証を受けるには、まずは働きやすい職場づくりを実現しなくてはなりません。
そこで、ヒントになるのが「リテンションマネジメント」です。リテンションマネジメントとは、社員が定着しその能力を最大限発揮してもらうための管理手法のことです。優秀な人材が他社へと流れることを防ぎ自社で長く働いてもらうというこの考え方は、働きやすい職場づくりにつながっています。リテンションマネジメントを成功させるには、いくつかの側面から考え取り組まなければなりません。ここでは6つの側面について解説していきます。
関連記事:人材の定着率向上には“リテンションマネジメント”の導入を!
1.ワークライフバランス
ワークライフバランスという考え方は、すでに多くの企業や従業員に浸透しているでしょう。仕事と生活、どちらかに重きをおきどちらかを犠牲にするのではなく、うまく調和し互いによい影響を与えられることが大切です。
ワークライフバランスの実現にはさまざまな施策がありますが、時間外労働の削減や家庭のあらゆる事情(育児や介護など)に対する支援などが代表的です。また、今では副業をする方も増えてきました。副業を認可し多様な働き方を受け入れ推進することも、一種のワークライフバランスといえます。
2.風通しのよい環境づくり
風通しのよい環境というのは、従業員にとってなくてはならないもの。単に、業務推進に関する相談だけではなく、たとえばハラスメントに関する相談窓口が設置され適切に運営されているかということも重要です。相談できる環境がなければ、問題を可視化したり改善したりする手だてがありません。小さなことでも気軽に相談でき、安心して働けると感じられる環境整備が必要です。
また、企業に対して安心や信頼を感じることができれば従業員の満足度も向上します。「話を聞いてくれない」「なにもしてもらえない」という状況では、企業に対する不満が募るばかりで最終的に離職となることも。そのため、従業員が安心して相談できる環境があり良好なコミュニケーションをとることができる職場は従業員の満足度も高く、結果的に定着にもつながっていくのです。
3.多様な働き方・職場環境の整備
コロナ禍以降、これまで以上に「多様性」「働き方改革」という言葉が取り上げられるようになりました。従来のようにオフィスに出社し自分のデスクで働くというスタイルだけでなく、テレワークや在宅ワーク、個人の専用デスクを設けないフリーアドレス制オフィスなどさまざまな改革をおこなった例も見られます。
企業によって適した職場環境というのはそれぞれ異なるため、上記のような制度がよいとは言い切れませんが、個人のライフスタイルや業務スタイルによって働き方を選択できることは重要です。
4.評価に見合った適正な給与・報酬
働きやすい職場というと環境ばかりに目がいきがちですが、働く以上「給与」「報酬」を切り離して考えることはできません。ここで重要なのは「男性だから」「女性だから」という性別によって格差が生まれないよう注意することです。性別によって評価基準が変わるなど主観的な価値観が入ってしまうことはあってはなりません。客観的な視点・基準のもと適切な評価をおこなうことが重要です。
直属の上司からの評価だけでなく同僚など他の従業員からも意見を取り入れ、より客観性のある評価を取り入れるほうが偏りのない評価を出すことができるでしょう。
5.キャリアビジョンに合った育成制度・環境
働きやすい職場を実現するには、従業員それぞれのキャリアビジョンをできるかぎりくみとる必要があります。「成長したい」「昇進したい」という希望があったとしても、全員がおなじキャリアパスを歩んでいるわけではなく、今後のキャリアビジョンやライフプランも異なっているでしょう。
そのため、それぞれのキャリアビジョンを丁寧にヒアリングし、スキルやポジションに見合った育成プランを考えていくことが大切です。丁寧なコミュニケーションをとることができれば適切なマネジメントにもつながっていくので、現場の生産性向上や成果向上も見込めます。また、育成制度や環境が整うことで従業員が前向きにかつ自主的に取り組むことを後押しし、よりやりがいを感じることもできるでしょう。
6.働きやすい職場を実現するためのステップ
働きやすい職場づくりをするためには、課題発見や検証を継続しておこなうことが大切です。ここからは、上記で解説した働きやすい職場を実現するためのステップについてお伝えします。
- 現場、チームの現状の問題を把握する
- 問題を分析して解決までの優先順位を決める
- 解決までのより細かい計画を策定する
- 策定した計画を実行する
- 定期的な振り返りの機会を設け確認する
この作業を繰り返しおこない、長期的に継続していきましょう。定期的な振り返りの際には、より現場の声を拾うことが大切です。組織やチームの編成、企業のビジョンなどが変わることもあるので、その都度見直しや検証をおこなうことようにしましょう。
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