労働環境は目まぐるしく変化している。「去年は・・・だったのに今年は違うな」など1年単位、もしくはそれより短いスパンで変化している現代。厚労省や総務省などでは、ご存じのとおり、労働に関する調査を毎月、毎年実施している。人事の方に必要な情報を抜粋し、それら厚労省の調査結果をまとめているので、人事戦略の参考にしてほしい。
1.厚生労働省 平成28年版労働経済の分析(労働経済白書)
【調査概要】
少子高齢化による供給制約の克服に向け、労働生産性の向上や希望する方が就労などにより活躍できる環境整備が必要であるとの認識のもと、「誰もが活躍できる社会の実現と労働生産性の向上に向けた課題」と題し、労働生産性の向上に向けた課題、だれもが活躍できる働き方に向けた方策について分析を行っている。
【調査結果のポイント】
・完全失業率:2015年平均で完全失業率は3.3%と19年ぶりの低水準を記録
・有効求人倍率:1.23倍と24年ぶりの高水準(現在は1.5倍を超える)
・非正規雇用から正規雇用への転換:2013年以降3年連続で増加、不本意非正規は9半期連続で減少
【労働の現状と課題について】
・IT投資が1990年以降、投入が減少している
・TFPの上昇率が極めて低く、人的資本への投資が乏しい
【採用・就労継続について】
・求人に対し、応募があっても採用に至らないケースが多い
⇒募集しても応募がない(43.2%)、応募があるが自社の求める水準に満たない(34.8%)
・60歳以上の有業者、就労希望者、また起業希望者は大幅に増加
2.厚生労働省 平成28年「賃金構造基本統計調査」
【調査概要】
「賃金構造基本調査」は、全国主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を、雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に明らかにすることを目的に実施している。
【調査結果のポイント】
・男女賃金差:男女計の賃金は304,000円、男性では335,200円、女性では244,600円。
⇒女性の賃金は過去最高水準となり、男女賃金格差(男性=100)は過去最小の73.0となっている。
・雇用形態間賃金格差(正社員=100)は65.8%となり、統計を取り始た平成17年以来過去最小になっている。
3.厚生労働省 平成28年度能力開発基本調査
【調査概要】
「能力開発基本調査」は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的に、実施している。
【調査結果のポイント】
・人材育成について何らかの「問題がある」と回答した事業所は72.9%
⇒問題点として多い回答は「指導する人材が不足している」(53.4%)、「人材育成を行う時間がない」(49.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(43.8%)
・自己啓発を行った労働者は正社員で45.8%、正社員以外では21.6%
・自己啓発に「問題がある」と感じる労働者は約7割
⇒問題点として多い回答は「仕事が忙しく自己啓発の余裕がない」(正社員:59.3%、正社員以外:39.4%)
4.厚生労働省 平成25年「若者雇用実態調査」
【調査概要】
「若者雇用実態調査」は、事業所における若者労働者の雇用状況、若者労働者(15~34歳)の就業に関する意識など若年者の雇用実態について把握することを目的に実施している。
【調査結果のポイント】
・若者の採用選考にあたり重視した点:「就業意欲。勤労意欲・チャレンジ精神」(新卒82.9%、中途74.7%)、「コミュニケーション能力」(67.0%、55.0%)、「マナー・社会常識」(63.8%、61.8%)
・「転職したい」と考えている若者正社員で25.7%、理由は「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が44.6%
まだまだ調査はあるが、最近の主要な労働に関する調査は以上のようなものになる。
総じてみると、やはり人口減少の影響が、各調査において浮彫りになっている。特に若者の調査については、人事の方が「昔はコミュ力など当たり前なことを採用選考基準にいれなかった」とよくおっしゃるが、人口減少、労働力不足はこういった採用選考基準のゆるみまでに影響している。また、人材不足の中、人的資本への投資は極めて少なく、労働者も時間のなさから自己啓発を行えていないという現状がある。一人ひとりの生産性の向上が叫ばれる中、それと逆行する結果であると考えられる。
現状把握、分析において、調査結果などは有効な材料になりうる。各社の人事戦略や採用、人材育成の材料として参考にしていただければ幸いである。
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