当社へのご相談やお問合せでも「未経験だけど事務職に転職したい」という方がたくさんいらっしゃいます。事務職はとくに女性にとって人気の高い職種であることはご存知かと思いますが、事務職の転職は非常に狭き門。募集が始まってもすぐに充足してしまうことも多いです。
では、未経験で事務職への転職を希望する方々にとって「事務職に転職したい理由」とは何なのでしょうか。理由は人それぞれですが、もしかするとその理由は「事務職でなくても解決可能」かもしれませんし、別の場所でもっとあなたの長所を生かすことができるチャンスがあるかもしれません。この記事では、事務職の転職市場をはじめ、事務職への転職を成功させるポイントや注意点などもご紹介します。
事務職を取り巻く近況
2023年1月の事務・アシスタントの求人倍率は【0.37(前月差は-0.02)】でした。全体の求人倍率は【2.34】なので、事務・アシスタントでの転職市場が全体に比べてあまり活発ではないことがうかがえます。事務・アシスタントの求人倍率はコロナ禍も含めて例年通り低く、長く横ばいの推移が続いています。1~2月は企業が採用を強化することやライフスタイルの変化に伴う異動・転職・退職等も増えるため1年の中では求人数が最も増える時期ではありますが、元々人気職種であるうえ、AIの導入や業務効率化が進んでいくなかでの事務職の転職はむずかしいものであるといえます。
参考:doda「転職求人倍率レポート(2023年1月)」
未経験での事務職への転職で注意すること
未経験で事務職に転職しようと考えている方は、事務職として働く上でのメリットやデメリットについても考えてみましょう。
メリット
- 「事務」といっても担当業務/部署が多く選択肢がある
- 部署によって「未経験OK」のことも多くチャレンジしやすい
- 残業は比較的少なく、デスクワークが中心
- 経理、会計、人事など部署によって専門スキルを習得できる
- ライフスタイルの変化(出産・育児など)に対応しやすい
デメリット
- 定型業務が多くAI導入の影響を最も受けやすい
- 任される仕事の幅・業務が広すぎる
- 競争率が高く転職が難しい
- 年収が比較的低く、昇給しにくい
市場をしっかりと捉えることが大切
このように、女性の多くは事務職に対しポジティブなイメージを持っていますが、ほかの職種同様にデメリットと捉えられる点もいくつかあります。とくに、AI導入の影響を受けやすいことは、今後のキャリアアップに対する不安要素にもなります。今後もさらにAIの導入・進化は止まらないため、あらゆるシーンで“人からITへの置き換え“が進んでいくとすると、さらに事務職の採用は減少していくおそれもあります。未経験での転職となると、さらに難易度は高まると予想できるでしょう。
そんななかでも「事務職に転職したい」と考えているなら、しっかりと市場動向を捉え、必要なスキル/求められるスキルを身に付けておくことが大切です。
「未経験で事務」必要なスキルは?
未経験で事務職に転職する場合、まずは事務職として「キャリアを築いていくためのスキルや経験があるか」自己分析してみましょう。ここでは、事務職に求める人物像として必要となるスキルを4つご紹介します。
1.コミュニケーションスキル
事務職はデスクワーク中心の業務ですが、他部署とのやり取りも多く円滑に仕事を進めていくにはコミュニケーションスキルや他人への配慮、気配りが欠かせません。一般のお客様や営業担当の顧客への対応も発生するため、最低限のビジネスマナーも必要です。
2.PCスキル(Word/Excelなど)
担当によっては基本的なPCスキルで十分なケースもありますが、高度なスキルを持っているほど現場では重宝されるでしょう。PCスキルが高ければ生産性の向上や業務効率化にも直結するため、評価につながりやすくなります。
3.対応力や柔軟性
事務職は、内部・外部問わずさまざまな人・組織と日々関わります。そのため、コミュニケーションをいかした臨機応変な対応力や調整力が必要です。イレギュラーなことが起きた際に柔軟に対応できるスキルやその準備・余裕がある人材は重宝され、現場でも頼られる人材です。
4.先読みする力・行動力
事務作業にはいわゆるルーティンワークが多く、今後は徐々にAIが導入され業務効率化が進んでいくといわれています。AIはルーティンワークが得意分野なので、スピーディーかつ正確に仕事をこなすことができ、その点では人間よりも優れているといえるでしょう。しかし、AIには状況を判断して臨機応変に対応したり経験や主観をもとに先読みして判断(決断)したりすることは、現時点では難しいといわれています。そのため、今後事務職としてキャリアを築いていきたいと考えているなら、自ら考え行動するスキルがより一層求められていることを自覚しておかなくてはなりません。
参考:AI導入で事務職はなくなるのか|スキルアップと将来性を考える
長所の生かし方は何通りもある!
ここまで事務職に求められるスキルとして4つご紹介しました。もちろん、これだけでは未経験から事務職へ転職できるというわけではありませんが、自分の長所を知っていくとその生かし方や生かせる場面がわかってきます。それが自信となって、面接などでも自分の言葉で話せるようになります。
「事務職以外への転職」で解決することも
また、今は事務職への転職を目指していたとしても、自己分析していくうちに違う道が見えてくることもあります。というのも、事務職への転職を希望する方には「ワークライフバランスの充実」「デスクワーク希望」など働き方や環境の改善を求める人が多い傾向にあります。
たしかに、昔は営業職や販売・サービス職、IT業界やクリエイティブ業界、建築業界などでは残業が多かったり肉体的な負担が多かったりするなどイメージもよくありませんでした。しかし、近年の「働き方改革」「働く人々の多様化」によって業界・職種全体で働く環境には改善が見られます。企業によっては独自の改革をしているところも増え、労働者の働く環境を大切に考える企業・経営者も増えてきています。そのため、もし、このような働く環境への不満や負担で転職を検討しているのであれば、「事務職でなくても今の不満を解決・改善できる」可能性もあるのです。
実際のクラスでの転職事例
ここでは、クラスで転職を成功させた2名の方の事例を少しご紹介します。
1人目は、航空会社でCAとして長くご活躍されていた女性です。大手IT企業のコンシェルジュへと転職を成功させています。ご結婚や出産後もCAというキャリアを続けてこられましたが、職業柄変則的な勤務のためこれ以上育児との両立が難しいということもあり転職を決意されたのですが、転職後は時短制度を活用しながらもキャリアと育児を両立しながらご活躍されています。年収も150万円以上アップしたこともモチベーションへとつながっています。
2人目の女性は、アパレルショップの副店長からカスタマーサポートへの転職を成功させています。体力面や収入面での不安が大きく転職を決意され、当初は事務職志望だったもののアパレルショップでの接客経験やコミュニケーションスキルをいかし、大手企業のカスタマーサポートとしてご活躍されています。
当初は事務職志望だった方も、当社のコーディネーターとの面談を重ねることで自分自身の経験を振り返ったりスキルをリストアップして可視化したりすることで、現在の問題点や転職で実現したいことが明確になってきます。結果的に、事務職でなくとも理想とする働き方やキャリアが実現できることも多いのです。この「自分と見つめあう時間」をおろそかにせず、しっかりと考えることが転職を成功させるポイントともいえるでしょう。
事務職以外の業界や職種についてもと知っておこう
お仕事をご紹介するエージェントとしては「なぜ事務に転職したいのか」をもっと自分なりに掘り下げてほしいと思います。そのためには、事務職以外の職種や業種についてももっと知る必要があるでしょう。
- 自身のライフスタイルに合うか
- 長く働き続けられる業界・企業なのか
- 年収や休日は自分の考え・スタイルとマッチするか
- どのようなキャリアパスがあるのか
- 将来的にスキルアップできるのか
など、条件や待遇ばかりではなく、ご自身のキャリアビジョンやライフスタイルなど広い視野を持って考えてみてください。
コメント