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日本の幸福度はなぜ低い?生産性向上に「幸福度」が必要なわけ

国連は「世界幸福デー」に定めている3月20日に155か国を対象とした幸福度ランキングを発表している。2017年のランキングでは、最も幸せな国にはノルウェー、日本は51位であった。GDPランキングは世界3位についており、経済は豊かだが幸福度というのは置いてきぼりのようだ。

ここから見えてくるのは「経済の豊かさ・お金」と「幸せ」に関連はあるのか、ということだ。よく議論になる話だが実際はどうなのであろうか。日本は「経済は豊かだが、幸福度は低い」と上記の順位からもいえる。では、なぜ日本は幸福度が低いのか。これは日本人の生産性の低さにも関わってくることは後述したい。

最も大きな理由に「日本人の特性」があると思われる。何が幸福度の高い北欧の人々と違うのか。アメリカの心理学者ショーン・エイカー氏は興味深い考え方を提唱している。それは「幸福優位性」というものだ。日本人の多くは「幸福」や「希望」という言葉に何らか不信感を抱きがちだが、エイカー氏はビジネスにおける幸福の重要性を提唱している。
「幸福優位性」を簡単にまとめると、人間は成功すると幸せになるのではなく、幸せな人間が成功するのだ、という考え方である。つまり、幸せは「成功に先行する」のであり、単なる「成功の結果」ではないのである。

従来は、目標達成・成功すれば、幸福になるという考え方が主流であり、そのため努力が必要というのが当たり前であると考えられていた。しかし、エイカ―氏は「『努力すれば成功する。成功すれば幸せになれる』という図式は間違いだ」という考え方をいくつもの実験研究を元に示している。
その実験研究の代表例が以下のようなものだ。

⇒4歳の子供を2つのグループに分けて、同じような知的な作業をさせる。「積み木を組み合わせて別の形を作る」というようなことだ。
その時、Aグループには作業開始前に「何か嬉しかったことを思い出そう」と指示を出してから作業をスタートさせ、Bグループには何も指示しない。
すると、明らかに「嬉しかったこと」を思い起してから作業をスタートしたAグループの子供達のほうがスピードが速く積み木を組み合わせることができるのだ。
大きな幸福体験をしていない4歳でもこのような差異が生まれる。

⇒また別の研究では、経験豊かな医師を別のグループに分け、Aグループには事前に「幸福度」を高める仕掛けをし、Bグループには何もせずに、医療における重要な判断のシミュレーションをしてもらった。すると、幸福度を事前に高めた医師グループは、他のグループの何と2倍のスピードで意思決定をし、しかも判断ミスは半分以下だったという。
「幸福度」を高める仕掛けは、ただキャンディーを作業前に食べたということだけである。

勤勉で努力を惜しまない日本人であるが、その特性から幸福度を後回しにし、生産性が低くなっているかもしれない。上述の2つの実験例からも楽しそうに、クリエイティブに仕事をしている人と目標に向け、大変さを我慢しながら仕事をしている人との生産性はどちらが高いか明らかだ。もちろん、目標を立て仕事をすることは間違いではない。しかし、自身の幸福さを置き去りに仕事をするのは生産性向上につながらない。ただ「いい気分」で仕事にでるということだけでもその生産性に、差異がはっきりと出るのだ。

そのため、ワークライフバランスは必要であるし、ストレスマネジメントが大切なのである。北欧諸国は「幸福度」が高いからこそ、労働時間が短いうえ生産性が高いのであろう。
危機感をもって目標やプレッシャーを原動力とするのが良しとされる文化や価値観がある日本の企業に、この考え方はすぐに浸透しないであろう。しかし現在、日本では生産性向上が人材不足や長時間労働問題から急務となっている。「努力➡成功➡幸福」という図式から「幸福➡努力・クリエイティブ➡成功」の図式へ変えることは大切ではないだろうか。
脳科学でも立証されているこの理論を一つの視点として、生産性向上に一人ひとりの幸福度の向上が必要であろう。

 

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