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人事・採用担当者向け

採用ブランディングの重要性|企業価値を高めるために必要なこと

今、採用市場では「採用ブランディング」が注目を集めています。採用ブランディングとは、採用において自社のブランド力を高め、自社にとって“欲しい人材”を確保するためにおこなう一連の手法をいいます。この記事では、採用ブランディングの重要性や採用ブランディングのメリット・注意点などをくわしく解説します。

【採用ブランディングとは】その概要と目的

採用ブランディングとは、自社の魅力を最大限発信することで採用力を高める手法です。一般的にブランディングというと、商品やサービスという側面で企業の認知度を高めます。いわば、商品やサービスの価値・認知度が企業イメージへとつながっているわけです。

しかし、採用ブランディングでは採用力を高めることに軸をおいています。商品やサービスではなく「企業そのもの=商品・魅力」として発信するのです。つまり、採用ブランディングの目的は“「自社が採用したいと思う人材=顧客」に選んでもらうこと”なのです。

採用ブランディングの重要性

では、なぜ今採用ブランディングが注目され重要視されているのでしょうか。これには、少子高齢化によって人材確保がむずかしくなっているという背景があります。従来の採用手法では自社が求める人材を確保することができないため、より優秀で自社に適した人材に出会うためには、この採用ブランディングが欠かせません。

採用ブランディングのメリット

採用ブランディングを導入・実践することには、多くのメリットがあります。ここでは、その5つのメリットをご紹介します。

1.認知度の向上

採用ブランディングをうまく運用していくことで、企業の認知度を向上させることができます。とくに、中小企業では大手企業に比べて広報にコストをかけることがむずかしいといったことも少なくありません。しかし、うまく採用ブランディングを実践することができ認知度が向上すれば、企業の存在を多くの候補者に知ってもらう可能性が高まります。

2.母集団形成の効率化

企業の認知度が高まることで、企業に興味をもってくれる候補者も増えます。その結果、求人への応募や問い合わせが増えるなど、これまでよりも効率的に集客ができるようになります。より的確なアプローチができていれば、ただ集客するというだけではなく、より優秀で自社に適した人材を効率よく確保することができる可能性も高まるのです。

3.コスト・工数の削減

効率よく人材を集めることができるようになれば、採用にかかる時間・コストを削減することにもつながります。うまく採用ブランディングを運用していくことで、自社独自の人脈や集客ルートが形成されていき、リファラル採用や口コミも大いに力を発揮していきます。これにより、最終的な採用コストや工数を削減することにもつながります。

4.他社との差別化

採用ブランディングによって「自社そのものの価値」を高めることができれば、競合他社との差別化にもつながります。たとえば、同じような商材を扱っていたとしても、他社に比べて企業カラーやコンセプト、ビジョンがしっかりとしていて独自の特徴があったとすれば、求職者にとっては魅力的に映るでしょう。

また、差別化することによって、求職者が企業を選びやすくなるため、質のよいマッチングにつながる可能性もあります。

5.社内の環境改善

採用ブランディングを実践していく過程では、採用の関係者だけではなく、全社員にコンセプトやビジョンを共有する必要があります。

そのため、改めて自社の分析をおこない、明確なコンセプトやビジョンを打ち出し発信することは、そこで働く社員全員のためでもあるのです。発信された内容を社員が把握することで、それぞれが企業の一員であることを再認識し、よりよい組織づくりのための行動起点となるでしょう。そして、その行動によってさらなる職場環境の向上や成果へとつながっていきます。

採用ブランディングのデメリット

採用ブランディングにはいくつかのメリットがある一方で、デメリットもあります。より効果的な採用ブランディングを実践していくためにも、デメリットもきちんとおさえておきましょう。

1.長期的な計画が必要

採用ブランディングは、自社の分析やターゲット層の明確化など、実際の運用に入るまで細かい作業が必要となります。また、実際に運用を始めてからも、具体的な結果がでてくるまで時間がかかるため、長期的な計画を立てておかなくてはなりません。

運用を始めて一回で全てうまくいくとは限らないので、定期的な見直しやブラッシュアップをすることも考え余裕を持ったスケジュールを策定しておくほうがよいでしょう。

2.コンセプトの共有が必要

採用に関わる担当者のみで自社の分析やターゲット層の明確化をすると、偏った視点となってしまうおそれがあります。その結果、採用後に現場との共有ができておらず、採用した人材とのマッチング性が悪く内定辞退や短期離職へとつながってしまうことにもなります。

偏ったメッセージの発信とならないよう、すべての部署、社員と採用ブランディングに関する内容を共有することが大切です。

採用ブランディングの方法

採用ブランディングにはメリットもデメリットもありますが、適切に運用していくことで長期的な採用力の強化につながります。時間もコストも抑えつつ影響力のある採用ができるよう、ここでは具体的な採用ブランディングの方法について解説します。

1.自社を徹底的に分析する

まずは、自社について改めて徹底的に分析することから始めましょう。自社のビジネスモデルやサービス、職場環境、制度、文化……など細かいところまでしっかりと情報を集めて分析することが第一歩です。そして、採用という面において、自社がその業界のどんな位置に立ち、どんな競合がいるのかを把握します。

採用市場は景況感によって大きく左右されるので、市場のトレンドや隠れた潜在ニーズなど、より深く分析できた方が確度の高い採用ブランディングを実践できます。

2.自社のビジョンを定義し明確化する

自社を徹底的に分析できれば、そこから自社のビジョンを明確化していきましょう。自社のビジョンは、いわば採用において「軸」となるものです。ビジョンがぶれてしまうと採用したい人材となるターゲットも変わってしまい、本来の目的を達成できません。そのため、自社はどんな会社として認知度を向上させたいのか、どのような企業に成功していきたいのかをはっきりと明確にすることが大切です。

3.ターゲットを明確化する

自社のビジョンが定義できれば、それに見合うターゲットを設定していきます。「優秀な人材」というと実績や経験によって判断できるかもしれませんが、ここで大切なのは「自社とどれだけマッチングするか」という点が重要です。

そのため、ターゲットを明確化するときには、仕事への価値観や活動スタイル、上司や同僚との関係性、社外との人との関係づくりなど、より具体的な人物像へと落とし込んで“ペルソナ”を確立させておくのがよいでしょう。

たとえば、自社では組織で動くことを大切にしている場合、いくら能力が高かったとしても個人プレーを好む人ではチームが思ったように機能しないおそれがあります。そのため、自社の価値観や2で明確化したビジョンに基づき、よりマッチング度が高いと考えられるペルソナを設定しておくことが重要です。

4.1~3に沿ってコンセプトを決定する

設定したビジョンやターゲットをもとに、どんな内容をどんなふうに発信をすれば効果的なアプローチができるのかを意識し、採用における自社のコンセプトを決定しましょう。

5.採用ブランディングを実施する

1~4ができれば、実際に採用ブランディングの運用を始めましょう。採用情報の発信方法はさまざまですが「継続して発信できる方法」かつ「より多くのターゲットが使用しているツール・媒体」を使用するのがおすすめです。

最近では、自社サイトのほかSNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINEなど)を効果的に活用した採用も目立ちます。SNSはそれぞれ特徴がありターゲットや発信内容に合わせて使い分けるのも効果的です。

ただし、SNSは自社サイトや会社説明会などと比べて気軽にメッセージを発信できる反面、情報の流動性が高いため、できるかぎり新しい情報を定期的に更新する必要があります。できればSNSの管理に慣れた担当者を配置し、長期的な運用を目指してルールを作っておくと安心です。

6.継続的に発信する

実際に採用ブランディングを実践していくと、よい反応がみられることもあれば新たな課題を見つけることになるかもしれません。採用トレンドも月日が経つにつれて変化していくため、適宜ブラッシュアップすることが大切です。

ただ、短期的な結果で良し悪しは判断できないので、継続的に運用しながら定期的に見直す機会を設けるとよいでしょう。

採用ブランディングで長期的かつ安定的な人材確保を

採用ブランディングは、人材不足に悩む日本企業を救う方法として有効な手法です。短期間で効果が見込めるものではありませんが、継続的にうまく運用できれば安定的に優秀な人材を確保することができます。

大手企業のように資金力が十分でなくても、中小企業やベンチャー企業が“自社らしさ”を的確にアピールすることで採用力を向上させることができるので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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